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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

世界史の哲学:近世篇

今日は、大澤真幸の新刊『世界史の哲学 近世篇』をぱらぱらっと見てた。うーん…。 大澤曰く。通説では、近代科学は言葉(聖なるテクスト)による論証を事実による論証に置き換えた。しかし、ガリレオによれば、科学とは宇宙と言うわれわれの眼前につねに開か…

クロノトリガー

おやつさん(id: knbnitkr)の「ひたすら楽してFF」シリーズと同じコンセプトで「クロノトリガー」をプレイできないかとふと思ったので、途中まで走ってみた。ここまでの感想を書いておく。 たしかに、理論上の最小勝利を目指すなら、未来の工場跡をクリアし…

トリソミー

最近、親戚の子供が生まれつきの障害で苦労しているという人の話を聞く機会があった。18番目の染色体の異常によって生じる遺伝子疾患で、18トリソミーという。恥ずかしながら全く知らない障害だった。以下、その後で自分なりに少し調べたことを簡単にメモし…

月距法

最近、歴史は面白いと思えるようになっていて、色々と啓蒙書を読んでいる。次の本はユニークで面白いと思った。 世界の歴史〈12〉ルネサンス (河出文庫) 作者: 会田雄次,中村賢二郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 1989/12 メディア: 文庫 購入: 1人…

eternalwind氏追悼

俺は自分が貧乏人の生まれで、貧乏人の立場から見て、「弱者の味方リベラル様」の意見が全く役に立たず、むしろ弱者の敵になってる事実に怒ってるだけのアカウントなんですよ。たまたま受けてるのは、俺と同じような意見が世界的に表面化してるからでしょう…

選言特性

論理学のメモ。まず、次の問題を考えてみる。|= はトートロジカルな帰結関係をあらわす。 Γ |= αvβ ならば、Γ |= α または Γ |= β といえるか?言えない場合には反例をつくれ。 答えはもちろん「言えない」。Γ = {αvβ} が反例になる。 しかし、これは古典論…

なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか

なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか:西洋と日本の歴史を問いなおす 作者: 関曠野 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2016/05/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 知り合いから強く薦められたので読んでみたのだが、正直あま…

形而上学者ウィトゲンシュタイン

形而上学者ウィトゲンシュタイン―論理・独我論・倫理 作者: 細川亮一 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2002/02 メディア: 単行本 クリック: 10回 この商品を含むブログ (2件) を見る ハイデガーの研究者による、一風変わったウィトゲンシュタインの研究書…

命題変数

古典命題論理についてのメモ。命題論理において A v not-A A → A のような式はトートロジーと呼ばれる。Pをどのように解釈しようと、これらの式は常に真になる。 この「どのように解釈しようと」という部分を、対象言語の中で直接に表現する方法として、命題…

楽しいプロパガンダ

プロパガンダについて書かれた新書サイズの解説書を読んでみた。 たのしいプロパガンダ (イースト新書Q) 作者: 辻田真佐憲 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2015/09/10 メディア: 新書 この商品を含むブログ (13件) を見る プロパガンダというと…

げんきな日本論

『ふしぎなキリスト教』→『おどろきの中国』につづく(?)対談シリーズの第三弾。ざっと目を通してみた。 げんきな日本論 (講談社現代新書) 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2…

記述理論(3)

ラッセルの「表示について」は表示句を消去することに全力を注いでいる論文で、"is an F" のような述定表現すら例外にせず、"is F'" のような代用表現に置き換えようとしている、ということを以前このブログで書いたことがある。いささか病的な雰囲気を感じ…

固有名と固有名詞

分析哲学の文献を読み始めると「固有名proper name」という言い回しが多いことに気付く。中学や高校では「固有名詞proper noun」と呼んでいたはずなのだが…と思いながらも、次第にこんな区別のことは忘れるようになる。入門書をみても 固有名(固有名詞)*1 …

利子の禁止

最近、モンタネッリ『ルネサンスの歴史』を読んでいるのだが、カトリック教会に対する批判的なスタンスがあちこちでにじみ出ていて面白い。例えば、14世紀の商人たちを紹介する12章にはこんな話がある。 金を持っているのが教会だけだった時代、教会は法外な…

フレーゲ著作集

5巻の編者解説を読んだ。 フレーゲ著作集〈5〉数学論集 作者: G.フレーゲ,野本和幸,飯田隆,Gottlob Frege 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (2件) を見る このシリーズのほとんどの巻で編者…

日本史の誕生

東洋史の有名な研究者の本を読んでみた。 日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫) 作者: 岡田英弘 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2008/06/10 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 54回 この商品を含むブログ (34件) を見る 岡田氏の…

ロビンソン算術

ロビンソン算術Qは以下7つの式(の全称閉包)を公理にもつ。 Sx ≠ 0 Sx = Sy → x = y x ≠ 0 → ∃y(Sy = x) x+0 = x x+Sy = S(x+y) x・0 = 0 x・Sy = (x・y)+x 不等号は次の定義によって導入する。 x < y ≡ ∃z(x+Sz = y) フランセーン『ゲーデルの定理』はよく…

人口増加

人類はなぜ農業を始めたのか、という有名な問題がある。素朴に考えると、これは愚問だ。農業は偉大な発明である。農業を始めれば不安定な栄養状態が解消されるだろうし定住することで子育ての負担も減るし、良いことづくめではないか。農業をわざわざ始めた…

コスパ

千葉雅也の次のツイートは色々考えさせられる。 ギャンブルってぜんぜん興味ないんだよ。だって損する可能性があるんでしょ。端的に言って、絶対に損したくないもん。ところで、ヘーゲルの翻訳をしっかり読み込むというのは、どうやっても絶対に損しない行為…

チョムスキー雑感(3)

半年くらい前に、山形浩生が訳したThe Economist誌のチョムスキーに関する記事を読んだ。 The Economist に出た、最近のチョムスキー - 山形浩生の「経済のトリセツ」 極小プログラムとか全然知らない門外漢だけど、この紹介[特に前半]はやっぱりアンフェ…

偽記憶(2)

一時期の大澤真幸は、偽記憶症候群に関心があったらしい。たとえば『現実の向こう』(2005年)の2.5節、『美はなぜ乱調にあるのか』(2005年)所収の「Ghost in the Patlabor」、『不可能性の時代』(2008年)5章あたり。 大澤は多重人格から話をはじめる。…

偽記憶

記憶研究で有名なロフタスの著書を読んでみた。 抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって 作者: E.F.ロフタス,K.ケッチャム,仲真紀子 出版社/メーカー: 誠信書房 発売日: 2000/06 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 13回 この商品を含むブ…

anyの用法

"any" の用法について調べていたところ、こういうサイトに出くわした。 英会話のための英文法!限定詞「Any」のイメージと使い方!! | 飽きっぽい人のための長続き英会話 ~初心者スピーキング上達法~ こういうサイトって、なんというか、英語の堪能な人が…

チョムスキー雑感(2)

以前読んだ本を久しぶりに読み返してみた。 生成文法 作者: 渡辺明 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2009/01 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (7件) を見る 私の場合、この本ではじめて生成文法を勉強したという事…

蒼き狼と白き牝鹿IV

『チンギスハーン:蒼き狼と白き牝鹿IV』(光栄1998)という古いゲームをやり直している。子供の頃は、とにかく強い将軍を集めて都市を征服するのが楽しかったが、今は街道や港といったインフラを整備するのがとにかく楽しい。都市Aから都市Bへの街道がすで…

チョムスキー雑感

チョムスキーが[一般向けに]書いたものを最近いくつか読んでいる。チョムスキーは毀誉褒貶の激しい人で、言語学者の中にも彼を毛嫌いする人は多い。嫌う理由が完全なる誤解に基づいていることもあるようだが…。まぁそれは仕方がない。 理解に苦しむのは、…

100分de名著「永遠平和のために」

この番組、興味のある本が取り上げられたときは視聴するようにしている。8月はカント「永遠平和のために」が取り上げられてるので、哲学の徒として一応観た。講師は気鋭の論客・萱野稔人氏。 この番組は25分×4回 = 100分という構成になっている。第1回目で…

不思議の国のアリス(2)

こんな本が出ているのを知った。 『不思議の国のアリス』の分析哲学 作者: 八木沢敬 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/06/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 個人的には、使用と言及の区別についての解説が印象的だった…

哲学がかみつく

有名な哲学者にインタビューした本は色々あって、翻訳もでている。最近、こういう本を見つけて図書館でパラ見した。 哲学がかみつく 作者: デイヴィッドエドモンズ,ナイジェルウォーバートン,David Edmonds,Nigel Warburton,佐光紀子 出版社/メーカー: 柏書…

逆バーカン式

飯田隆『言語哲学大全3』を読み返してて思ったこと。量化様相論理を解説している節で、最初に真理値ギャップを認める意味論が紹介されている。この意味論で、特に、必然性演算子の真理条件を □φがwで真 iff wRvとなるすべてのvで、もしφがvで真理値をもつな…

漱石と近世哲学

夏目漱石が哲学に造詣深かったという話はちょくちょく耳にするが、実際、小説の中でも博覧強記っぷりを披露してる。最近知った箇所を二つほど紹介してみる。 『三四郎』の冒頭で三四郎が鞄の中から「読んでも解らないベーコンの論文集」を取り出して読むとい…

現実性オペレータ(2)

現実性オペレータを言語に足しても、もとの言語で表現できない内容を表現できるとは限らないという先の話だが、少なくとも量化を含む言語では話が違ってくるらしい。例えば 現実には存在しない対象もまた存在することができた という文は ◇∃x@∀y x≠y と書け…

現実性オペレータ

標準的な様相論理の言語に、現実性オペレータ@を付け加えると、色々ふしぎな結果が得られるという話。 構文論は、φがwffならば@φもwffとする。意味論は、標準的な様相論理の言語ではモデル<W, R, V>と相対的に式が評価されるのに対し、@を付け加えた場合…

生存圏

ナチス・ドイツの戦争目的は、ゲルマン人のための「生存権Lebensraum」を確保することであったとされている。すなわち、一つの「人種」、最も純粋であるとみなされた一つの民族が、そこにおいて安全に生存・存在しうる空間を確保しなくてはならない、とされ…

EFQ

タブローで、矛盾からは何でも言えるということを証明するにはどうするのか、という質問を見かけて、それは考えたことなかったなと思った。もっとも、大して難しいことではないだろうけど。⊥を論理記号に含む言語だったら、⊥に関する推論規則として、すぐに…

フィッシュ『知覚の哲学入門』

知覚の哲学入門 作者: ウィリアムフィッシュ,William Fish,源河亨,國領佳樹,新川拓哉,山田圭一 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2014/08/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る amazonのレビューを見たら、翻訳がけなされていたので原文…

乳糖不耐症

乳糖不耐症(lacrose intolerant)について少し調べる機会があったのでメモしておく。なお、間違いもあるかもしれませんのでご注意を。 乳糖不耐症は乳製品に含まれるラクトースを消化するラクターゼ酵素(lactase enzyme)が生成されないために身体の不調が…

等加速度運動について

ガリレオの力学について書かれた次の記事にちょっとツッコミを入れてみた。 ガリレオの力学はどこまで独創的だったのか | 永井俊哉ドットコム この記事の著者とは前に多値論理に関してやり取りをしたことがあるのだが*1、そのときも今回も悲しくなるくらい話…

現代普遍論争

最近亡くなった、現代形而上学の重鎮アームストロングの本を読んでる。 現代普遍論争入門 (現代哲学への招待 Great Works) 作者: デイヴィッド・マレットアームストロング,David Malet Armstrong,秋葉剛史 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2013/10/23 メデ…

ワインバーグ「科学の発見」

ワインバーグの『科学の発見』を読んでいる。 アリストテレスは軽率… 「科学の発見」著者に聞く:朝日新聞デジタル 科学史家の間ではあまり評判は芳しくないようだけど、私は科学史への入り口としては悪くないと思った。哲学史でいえば、ラッセルの『西洋哲…

空海の謎

ちょっと前に高野山を特集した番組があって、それを見ていたら、 高野山と空海が留学していた長安の青龍寺は緯度が同じである(北緯34度)。 つまり、高野山は長安の真東にある。 こんなことができたのは空海が高度な天文的知識を持っていたから。 というよ…

ルーマンの機能概念

「行政学における機能概念」というルーマンが1958年に書いた論文の訳をネット上で見かけたので、冒頭部分を少し読んでみた。 行政学における機能概念 - たけみたの脱社会学日記 ルーマンの特徴は「関数」と「機能」をほとんど同義語として取り扱おうとする姿…

宮台真司のクリプキ論

小林よしのり・宮台真司・東浩紀の共著本『戦争する国の道徳』を読んでいたら、クリプキについてコメントしてあるのを見かけた。宮台や東がクリプキに言及することはこれまでにもあったが、ここでのコメントの分量は3ページほどあり、比較的まとまったコメン…

シンデレラ

中沢新一の『人類最古の哲学』という本がある。この本はシンデレラのさまざまな異文について結構詳しく取り上げている。 「シンデレラ」には確認できているだけで450以上の異文があるらしい。子供向けの上品な形態もあれば、グリム兄弟の「灰かぶりの少女」…

ならばの推移性とMP

命題論理の話。 A→B, A |- B A→B, B→C |- A→C この二つの推論図式は互いに独立なのか、という質問を受けたので、少し考えてみた。たぶん独立なんじゃないか。要するに反例モデルを無理やり作ればいいと思うんだ。 "A→B"をふつうの実質条件文としてではなく、…

名無しの権兵衛

洋書を読んでいたら、明らかに名詞の位置に"does"という単語があった。どういうことだろうと少し考えて、"doe"の複数形という答えにたどり着いた。「ドレミのうた」に Doe, a deer, a female deer... とあるように、雌のシカのことかな。 ちなみに、"Doe"は…

婚姻規則と群

人類学者の人と話していたら交叉いとこ婚の話がでてきて、婚姻規則の話はちょっと面白そうな気がしてきたので、その後自分で少し調べてみた。とりあえず、昔読んだことのある橋爪大三郎『はじめての構造主義』を家の本棚からひっぱりだして、関連する箇所を…

引用数

google scholarで、分析哲学の有名な文献の引用数を調べてみるというテスト。系統だったテストではなく、思いついた文献を入力してみただけ。 Quine, Word and Object:9792 Dummett, Frege:3007 Kripke, Naming and Necessity:10729 Evans, Varieties of …

アリストテレスの色欲

「トリビアの泉」でこういうトリビアが紹介されていたことを知った。 アリストテレス研究者の千葉先生が出演しており、身を削るような解説をされている。少し気になったので調べてみたが、千葉先生が参照された箇所は、『動物発生論』5巻3章だと思われる。 H…

混色は神の冒涜

プラトンは混色によって色を作り出すことは神に対する冒涜行為だと言った、という話が色彩についての概説書を読んでたら書いてあった。正直言って、こういう面白可笑しい主張が昔の偉人に帰属されるときは、とりあえず疑ってかかったほうがいいと思っている…