Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ペドフィリア

今年3月にBBCジャニー喜多川による性加害を報道したが,ようやく日本のマスコミでもこの件が大々的に取り上げられるようになった.大手企業もCMを打ち切りはじめているみたいだし,帝国の終焉も近いのだろうか.

ところで,最近ヴェロニク・モティエ『14歳から考えたい セクシュアリティ』という本を読んだのだが,この本の5章に小児性愛についての興味深い記述がある.ここは個人的にかなり驚いた箇所なので,メモも兼ねて引用しておきたい.

他の性的少数者は別の組織を作りました。そのひとつで、おそらく意見が大きく分かれるだろうと思われるのが、1970年代からオランダ、アメリカ、イギリスなど数々の国で生まれた小児性愛者の利益団体です。

小児性愛者の運動はとくにオランダで盛んで、1972年に『性と子ども(Sex met kinderen)』がオランダ性改革協会(NVSH)という立派な組織の支援で出版されています。

(中略)

世界保健機関(WHO)が小児性愛を性的および精神的障害と特徴づけているのとは対照的に、小児性愛者の権利を擁護する活動家は合法化の拡大、精神障害の分類からの解除、子どもの性の権利、(合意にもとづく)世代間の性行為の非犯罪化を主張しました。

フランスでは、1970年代後半にさまざまな請願によって、性的同意年齢に関する法律の撤廃を議会に求めました。合意にもとづくすべての性的関係を犯罪の対象からはずすよう求める1977年の請願書には、ジャン=ポール・サルトルシモーヌ・ド・ボーヴォワールミシェル・フーコージャック・デリダロラン・バルトをはじめとする著名な知識人や、フランスの有名な小児精神分析医であるフランソワーズ・ドルトが署名しました。

このように小児性愛者支援団体が活動する背景には、子どものセクシュアリティについての文化的概念が広く再定義されつつあったこと、また、おそらく医療や栄養事情の向上により、性的成熟期に達する年齢が大きく低下したことがあげられます。

(中略)

成人と小児との性的関係についてはつねにさまざまな議論があり、文化による大きな違いも残っていますが、人々の姿勢は1980年代以降、大幅に硬化しました.西ヨーロッパでは、子どもへの性的虐待に対する人々の怒りが激しさを増したのを受け、小児性愛者の政治ロビー団体が勢いを失いました.アメリカ、カナダ、イギリスでは警察が監視を強め、団体のメンバーが犯罪者になることが増えると、名の知れた団体は、すべてではないものの、大半が解散するか、あるいは、インターネットを利用した目につきにくいコミュニティに形を変えました。

フランス現代思想の大物たちがそんな署名に加わってたとか,知らなかったなぁ.