Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

大澤真幸

クリプキ再訪

大澤はさまざまな箇所でクリプキの固有名論を魔改造して提示している。 例えば、木田元にしたがって事実存在と本質存在の差異を「xがある」と「xである」の違いとしてとらえた上で、「存在論的差異というと深遠にきこえるが、分析哲学でいえば固有名の反記述…

確実性と真理

自然科学が特殊な歴史的文脈に相関した相対的な知であるということは、科学史の専門家がくりかえし確認してきたことだ。ヒトは自然科学以外の真理の体系を保有しうるし、現に保有してきた。自然科学の見地から見ると「神話」でしかない、世界についての説明…

ニューカムの問題

ニューカムの問題(ニューカムのパラドクス)は、リバーモア放射線研究所の物理学者であるウィリアム・ニューカムによって考案され、ロバート・ノージックとマーティン・ガードナーの紹介によって有名になった、とされる。しかし、考案者のニューカム博士と…

様々な含意関係

哲学の文献では"entail"という用語がよく出てくる。意味合いとしては、AがBをentailするとは、Aならば必ずBといったところだろうか。それも、単なる必然性ではなく意味によって・概念的に必然的、といったニュアンスも含まれる。論理的帰結関係はentailの一…

世界史の哲学

『世界史の哲学』という文章を大澤真幸が書いている。これは『群像』に連載されてるもので、今のところ『古代篇』『中世篇』『東洋篇』『イスラーム篇』『近世篇』が書籍になってる。まだ続いていて、もはや逝けるとこまで逝くという感じである。 たぶん、今…

げんきな日本論

『ふしぎなキリスト教』→『おどろきの中国』につづく(?)対談シリーズの第三弾。ざっと目を通してみた。 げんきな日本論 (講談社現代新書) 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2…

利子の禁止

最近、モンタネッリ『ルネサンスの歴史』を読んでいるのだが、カトリック教会に対する批判的なスタンスがあちこちでにじみ出ていて面白い。例えば、14世紀の商人たちを紹介する12章にはこんな話がある。 金を持っているのが教会だけだった時代、教会は法外な…

人口増加

人類はなぜ農業を始めたのか、という有名な問題がある。素朴に考えると、これは愚問だ。農業は偉大な発明である。農業を始めれば不安定な栄養状態が解消されるだろうし定住することで子育ての負担も減るし、良いことづくめではないか。農業をわざわざ始めた…

偽記憶(2)

一時期の大澤真幸は、偽記憶症候群に関心を持っていたらしい。たとえば『現実の向こう』(2005年)の2.5節、『美はなぜ乱調にあるのか』(2005年)所収の「Ghost in the Patlabor」、『不可能性の時代』(2008年)5章あたり。 大澤は多重人格から話をはじめ…

生存圏

ナチス・ドイツの戦争目的は、ゲルマン人のための「生存権Lebensraum」を確保することであったとされている。すなわち、一つの「人種」、最も純粋であるとみなされた一つの民族が、そこにおいて安全に生存・存在しうる空間を確保しなくてはならない、とされ…

ドーキンスの宗教

最近『神は妄想である』を読んでみた。ドーキンスの本には色々手を出してきたけど、宗教を扱った本を読むのはこれが初めてだったりする。 神は妄想である―宗教との決別 作者: リチャード・ドーキンス,垂水雄二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2007/05/25…

ゲーデルの定理

大澤真幸はゲーデルの定理についてこんなことを言っている。 ゲーデルの第一不完全性定理と第二不完全性定理は、次のことを意味している。すなわち、(自然数論を含む)形式体系が含まざるを得ない決定不能命題の存在は、体系内のすべての命題(論理式)の決…

アイゼンク『フロイト帝国の衰退と没落』

大澤真幸は、フロイトやマルクスのテキストを実証主義的に読もうとすると、退屈極まりないアウトプットしか出てこないのに対して、むしろ彼らのテキストを聖典であるかのように教条主義的に読むことで生産的なアウトプットが出てきた、という「逆説」につい…

一貫性のなさ

『波状言論』という東浩紀が昔発行していたメールマガジンに掲載されていた鼎談で、大澤真幸は小室直樹についてこう言っていた。 小室さんは確かに頭もいいし明快だけれども、斬新かと言えばそうでもない。僕は、小室さんの話を聞いて、ゴタゴタしていた知識…

大澤真幸『問いの読書術』

<問い>の読書術 (朝日新書) 作者: 大澤真幸 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2014/09/12 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 書評集だが、本書の特徴は、新聞の書評と比べるとかなり長めの分量のものもあることと、有名ではあってもか…

利益相反

1950年代のアメリカでは、中核企業が国民国家と象徴的に同一視されていた、というテーゼを裏付けるため、大澤はゼネラル・モーターズの社長チャールズ・アーウィン・ウィルソンが公聴会でやらかした発言を引用する(『ナショナリズムの由来』p.222f)。 長年…

池田信夫の大澤批判

<自由>の条件 作者: 大澤真幸 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/05/13 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 90回 この商品を含むブログ (38件) を見る 先に取り上げた大澤真幸『自由の条件』について、だいぶ昔の記事だが池田信夫が割と好き勝手言っ…

異人殺しとキツネ憑き

籠女の邑(1) (シリウスコミックス) 作者: Cuvie 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/09/20 メディア: コミック 購入: 3人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (5件) を見る このサスペンスというかホラーみたいな漫画は、異人殺し(六部殺し)とキツネ…

振り返ってみる

このブログ、はじめたのは2011年の夏なのでもう2年半近く継続していることになる。グダグダながら、よくここまで続いたものだ…。ここらで少し振り返って感想を書いてみるかな。 2年前と比べてそれほど大きく変わったところはないと思うけど、あるとすれば、…

大澤真幸『量子の社会哲学』

量子の社会哲学 革命は過去を救うと猫が言う作者: 大澤真幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/10/08メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 72回この商品を含むブログ (19件) を見る 幅広い話題が詰め込まれていて、気楽に読む文には結構楽しめる。この本の…

『おどろきの中国』

おどろきの中国 (講談社現代新書)作者: 橋爪大三郎,大澤真幸,宮台真司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/02/15メディア: 新書購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (30件) を見る 昨日ざっと目を通した。アマゾンのレビューがある程度出てくるの…

大澤真幸について

大澤真幸とは? 大澤真幸氏は1958年生まれの社会学者。東京大学で博士号を取得、千葉大学を経て、1997年に京都大学の助教授、2007年に教授に昇格。しかし、2009年にセクハラ疑惑で辞職した。最近は、大澤が個人的に編集している思想誌『Thinking O』を中心に…