Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

コンピューターは人のように話せるか

トレヴァー・コックス『コンピューターは人のように話せるか』(白揚社)を読んだ.著者は音響工学を専門にする英国の研究者.この本は声の進化から人工知能との会話まで,声にまつわる多様な話題をカバーしている.

情報量が非常に多い本で,なんなら最初の方の内容はすでに頭から抜け落ちているのだが,それでも楽しい本だった.各章の内容はおおむね独立しているので,気になる章だけ読んでもいいかもしれない.たとえば,音楽が好きな人には5章がおすすめ.フレディ・マーキュリーとモンセラート・カバリェの「バルセロナ」を題材に,伝統的なオペラ歌手と現代の歌手の歌い方がどういうトレードオフ関係にあるのかを議論してたりする.

翻訳もこなれていて読みやすい.一か所分かりにくかったのは,ダブルミーニングをもつ表現について話しているところ.「一日中…を食べられる」のような構文は下ネタとして解釈されやすい,とあり首をかしげたのだが,辞書でeatを引くとフェラチオという意味があることを知った.また,ここで参照されてる論文は,

  • Kiddon et al. "That's what she said: Double Entendre Identification"

という論文なのだが,タイトルのthat's what she saidがどういう意味なのかも知らなかった.次のサイトの解説にいろいろ教えられた.

やはり英語の勉強が足りないなぁ……という結論に至った.