Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ポストモダン

ペドフィリア

今年3月にBBCがジャニー喜多川による性加害を報道したが,ようやく日本のマスコミでもこの件が大々的に取り上げられるようになった.大手企業もCMを打ち切りはじめているみたいだし,帝国の終焉も近いのだろうか. ところで,最近ヴェロニク・モティエ『14歳…

哲学者のAI論

人間の最も素晴らしいところが知性ならば人工知性の発展は脅威と受け止められるだろう。しかし、人間の最も素晴らしいことろは知性ではないとすれば、これは大した脅威ではなくなる。実際、ダーウィンはミミズについての実験と観察の末「体制こそ下等なれど…

ジジェクのチャーチル論

チャーチルの有名なパラドックス…民主主義は堕落とデマゴギーと権威の弱体化への道を開くシステムだと主張する人びとにたいして、チャーチルはこう答えた。「たしかに民主主義はありとあらゆるシステムのうちで最悪である。問題は、他のどのシステムも民主主…

エディプスコンプレックスの教義

岩波の『フロイト全集』に付いている月報20から。白井聡「いまフロイトを読むこと」 フロイトを今日あらためて読み直し、評価する際に、エディプスコンプレックスの教義をどのように取り扱うべきかという問題は、やはり避けて通ることのできない・・・この教…

コスパ

千葉雅也の次のツイートは色々考えさせられる。 ギャンブルってぜんぜん興味ないんだよ。だって損する可能性があるんでしょ。端的に言って、絶対に損したくないもん。ところで、ヘーゲルの翻訳をしっかり読み込むというのは、どうやっても絶対に損しない行為…

チョムスキー雑感

チョムスキーは毀誉褒貶の激しい人で、言語学者の中にも彼を毛嫌いする人は多い。それにしても、チョムスキーを嫌っている言語学者が、チョムスキーについての入門書を書いていたりするのは理解しがたい。例えば、田中克彦『チョムスキー』とか町田健『チョ…

100分de名著「永遠平和のために」

この番組、興味のある本が取り上げられたときは視聴するようにしている。8月はカント「永遠平和のために」が取り上げられてるので、哲学の徒として一応観た。講師は気鋭の論客・萱野稔人氏。 この番組は25分×4回 = 100分という構成になっている。第1回目で…

心のウィルス

先日の記事で書いたように、ドーキンスの『神は妄想である』に目を通したので、関連しそうな別の本にも目を通してみた。別の本というのは『悪魔に仕える牧師』なのだが、手に取るまでこの本がエッセイ集だということに気付いてなかった…。 悪魔に仕える牧師 …

ゲーデルの定理(2)

仲正昌樹はゲーデルの定理についてこんなことを書いている。 「不完全性定理」というのは、「現代思想」の文脈に合わせて簡略化して言うと、いかなる無矛盾な体系においても、その体系自体の中では証明も否定もできない論理式=命題が存在する、ということで…

サール=デリダ論争

ちょっと古いけど、こういう記事を読んだ。 ジョン・サールのインタビュー記事: 終了:Tell the truth 分析哲学と大陸哲学の交流としてサール=デリダ論争はよく知られているけど、このインタビューによれば、そもそもそんな論争はなかったという話。なので …

仲正氏のポストモダン擁護

訳が分かっていないのに、「ポモはダメ!」と言いたがる残念な人達 仲正昌樹【第22回】 – 月刊極北 この文章の中で、仲正氏は「念のために言っておくと、私はいろんなところでフーコーやデリダを参考にしているが、「ポモ」を信仰しているわけではない」と断…

ヒース&ポター『反逆の神話』

反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者: ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター,栗原百代 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る 読書ノ…

浅田彰の國分功一郎批判

最近、浅田彰が國分功一郎を雑誌でボロクソに叩いていた、という話をツイッター上で見かけた。調べてみると、こういう感じのことを言ったらしい。 京大の人文研にいる、東浩紀の同級生でディドロ研究者の王寺賢太が、國分を呼んでスピノザ論を聞いたことがあ…

虚数

虚数についてのメモ。まず、基本事項の確認。 虚数の定義は一般には「実数でない複素数」となっている。ただ、これとは違うことをいう人もいる。マンガ『虚数霊』には「2乗してマイナスになるのが虚数」という表現がある(1巻p.19)。これらは同値ではない。…

propositionalとproportional

ソーカルとブリクモンの『知の欺瞞』には、ラカンとクリステヴァが述語論理を誤解していると指摘する箇所がある。例えば、 記号論理学では、否定はwffにしか適用することができないが、ラカンは量化子に否定をつけようとする。しかも、「量化文の否定を意味…

『探究II』を読む

探究2 (講談社学術文庫)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1994/04/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (40件) を見る 柄谷行人が数理論理学の基本的な理解を欠いているというのはよく言われるが、言語哲学に対する…