Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

岸辺のアルバム

昔のTBSドラマ「岸辺のアルバム」をYouTubeで見つけたので見てしまった。多摩川沿いの一軒家で一見幸せそうに暮らす普通の家庭だが、母親は不倫、姉は堕胎、父親は会社の仕事で人身売買、という惨状に高校生の息子が悩む、という話らしい、ということは前に聞いたことがあったが、まあたしかにそういう話だった。

個人的に特に面白かったのは、八千草薫演じる母親が不倫に走るまでを描いた最初の5話くらいまでだったが、それでも最後まで一気見できるくらいには面白かった。母親の不倫は最初、いたずら電話から始まるのだが、脚本が本当に上手い。相手の男(竹脇無我)が、ちょっとの時間でいいからお話をしましょう、と心の隙を突くような形で誘惑するのだが、視聴者まで催眠術にかけられているような気分になってくる。

さて、「岸辺のアルバム」は自分が生まれるよりもだいぶ前の作品なので、この作品のことを知ったのは大人になってからである。たしか宮台真司の本からだったと記憶している(『まぼろしの郊外』)。宮台によれば、「岸辺のアルバム」は過渡期の作品なのだという。母親の不倫やら姉の堕胎なんかで悩み、いらつく息子というのは当時だからありえた話で、いまならもっとサバサバしているのでは、という書きぶりだったと思う。全面的に賛成はしないがまあ分かる。

以前、新聞の投書で母親の不倫について悩み相談した高校生に対して、上野千鶴子が批判的コメントを返したのが話題になったことがあったが、

賛否両論いろいろな反応があったなかで、「岸辺のアルバム」を引き合いにだして賛成している人が見受けられた。たしかに、このドラマのような状況だったら、むしろ母親を応援したくもなるし、母親の邪魔をしようとする息子(国広富之)がうざったく見える。ただ、今の時代にこのドラマのような家庭が典型例といえるどうかは疑問だが。

↓は別の記事に対するコメントだけれども、私の意見はこれに近い。