Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

哲学

コスパ

千葉雅也の次のツイートは色々考えさせられる。 ギャンブルってぜんぜん興味ないんだよ。だって損する可能性があるんでしょ。端的に言って、絶対に損したくないもん。ところで、ヘーゲルの翻訳をしっかり読み込むというのは、どうやっても絶対に損しない行為…

100分de名著「永遠平和のために」

この番組、興味のある本が取り上げられたときは視聴するようにしている。8月はカント「永遠平和のために」が取り上げられてるので、哲学の徒として一応観た。講師は気鋭の論客・萱野稔人氏。 この番組は25分×4回 = 100分という構成になっている。第1回目で…

不思議の国のアリス(2)

こんな本が出ているのを知った。 『不思議の国のアリス』の分析哲学 作者: 八木沢敬 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/06/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 個人的には、使用と言及の区別についての解説が印象的だった…

哲学がかみつく

有名な哲学者にインタビューした本は色々あって、翻訳もでている。最近、こういう本を見つけて図書館でパラ見した。 哲学がかみつく 作者: デイヴィッドエドモンズ,ナイジェルウォーバートン,David Edmonds,Nigel Warburton,佐光紀子 出版社/メーカー: 柏書…

逆バーカン式

飯田隆『言語哲学大全3』を読み返してて思ったこと。量化様相論理を解説している節で、最初に真理値ギャップを認める意味論が紹介されている。この意味論で、特に、必然性演算子の真理条件を □φがwで真 iff wRvとなるすべてのvで、もしφがvで真理値をもつな…

漱石と近世哲学

夏目漱石が哲学に造詣深かったという話はちょくちょく耳にするが、実際、小説の中でも博覧強記っぷりを披露してる。最近知った箇所を二つほど紹介してみる。 『三四郎』の冒頭で三四郎が鞄の中から「読んでも解らないベーコンの論文集」を取り出して読むとい…

フィッシュ『知覚の哲学入門』

知覚の哲学入門 作者: ウィリアムフィッシュ,William Fish,源河亨,國領佳樹,新川拓哉,山田圭一 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2014/08/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る amazonのレビューを見たら、翻訳がけなされていたので原文…

現代普遍論争

最近亡くなった、現代形而上学の重鎮アームストロングの本を読んでる。 現代普遍論争入門 (現代哲学への招待 Great Works) 作者: デイヴィッド・マレットアームストロング,David Malet Armstrong,秋葉剛史 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2013/10/23 メデ…

宮台真司のクリプキ論

小林よしのり・宮台真司・東浩紀の共著本『戦争する国の道徳』を読んでいたら、クリプキについて論じているのを見かけた。宮台や東がクリプキに言及することはこれまでにもあったが、ここでは分量が3ページほどあって、比較的まとまっている。気づいたことを…

シンデレラ

中沢新一の『人類最古の哲学』という本がある。この本はシンデレラのさまざまな異文について結構詳しく取り上げている。 「シンデレラ」には確認できているだけで450以上の異文があるらしい。子供向けの上品な形態もあれば、グリム兄弟の「灰かぶりの少女」…

セックスと頭髪

「トリビアの泉」でこういうトリビアが紹介されていたことを知った。 アリストテレス研究者の千葉先生が出演しており、まさに身を削るような解説をされている。少し気になったので調べたところ、千葉先生が参照された箇所はおそらく『動物発生論』5巻3章だろ…

混色は神の冒涜

プラトンは混色によって色を作り出すことは神に対する冒涜行為だと言った、という話が色彩についての概説書を読んでたら書いてあった。正直言って、こういう面白可笑しい主張が昔の偉人に帰属されるときは、とりあえず疑ってかかったほうがいいと思っている…

心のウィルス

先日の記事で書いたように、ドーキンスの『神は妄想である』に目を通したので、関連しそうな別の本にも目を通してみた。別の本というのは『悪魔に仕える牧師』なのだが、手に取るまでこの本がエッセイ集だということに気付いてなかった…。 悪魔に仕える牧師 …

ドーキンスの宗教

最近『神は妄想である』を読んでみた。ドーキンスの本には色々手を出してきたけど、宗教を扱った本を読むのはこれが初めてだったりする。 神は妄想である―宗教との決別 作者: リチャード・ドーキンス,垂水雄二 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2007/05/25…

パトナムの訳書

ヒラリー・パトナムの論文集『実在論と理性』の訳者あとがき(p.384)で、飯田先生は次のように書いている。 それまでパトナムの著作の「翻訳」がなかったわけではない。ところが、そのうちの一冊は、それを手にとって見たことのあるひとならしているように…

アリストテレスの動物研究

著名な生物学者であるメダワー夫妻の『アリストテレスから動物園まで』という本を読んでいる。この本は生物学の事典なので、適当につまみ食いするのに向いている。各々の項目はA to Zで並んでおり、一番最後の項目はたしかに「動物園(Zoo)」なのだが、一番…

述語のイミ

飯田隆『言語哲学大全1』から。 一座の一階述語のイミは、その述語を満足する対象の全体によって与えられ、二座の一階述語のイミは、その関係を満足する対象の対の全体によって与えられる p.111 ここでいう「全体」は集合のことだろうか。しかし、集合は対象…

事実と事態

本屋の中でぶらついていたら、こういう本が目に留まった。 読まずに死ねない哲学名著50冊 (フォレスト2545新書) 作者: 平原卓,横槍メンゴ 出版社/メーカー: フォレスト出版 発売日: 2016/03/06 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 見覚えのあ…

「人間」の定義

「人間とは何か?」という問題はたぶん哲学の永遠のテーマだろう。それだけに長い歴史がある。 プラトンは「人間」を「羽のない二足動物(featherless biped)」と定義して、キュニコス派のディオゲネスから反論を受けたという逸話がある*1。この話は次の滑…

スペイン語

「おーい、モーク」ローリーは言った。「スペイン語は話せるかい?」「わからないわ。話したことがないから。どうして?」「スペイン人かアルゼンチン人かどこかの野郎が出てきて、持ち馬について母国語で話してるんだ。…*1 話したことがなくったって、スペ…

クサンティッペ

ソクラテスの妻クサンティッペは悪妻として名高い。彼女にまつわるエピソードとして、次のような話がある。 初めのうちはがみがみと小言を言っていたが、のちには彼に水をぶっかけさえしたクサンティッペに対して、彼はこう応じた。「ほうら、言っていたでは…

普遍論争

普遍論争 近代の源流としての 作者: 山内志朗 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2008/01 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 102回 この商品を含むブログ (50件) を見る だいぶ前に買って読もうとしたのだけど途中で挫折した本なのだが、今ならいけるかな…

アリストテレスの論理学

マレンボンの『後期中世の哲学』を読んでいたところ アリストテレスの論理学書は、『分析論後書』を除いて、古代末期に、ボエティウスによって翻訳されていた。p.58 という箇所が目を引いた。『オルガノン』に関してボエティウスが訳したのは『カテゴリー論…

分析哲学はイギリス古典経験論の後継か?

「分析哲学」は現代英米圏の哲学の通称として使われており、それゆえに分析哲学はイギリスの古典経験論の後継とみなされがちである。しかし、そういう通念は素朴であるように思える。そう思う理由を記しておく。 まず、現代英米圏の哲学は多様化を極めており…

宮台氏の科学的実在論

こういう文章を見かけたのだが アリ・フォルメン監督『コングレス未来学会議』について書きました 科学的実在論/反実在論を取り上げている最初のセクションは本文全体に関係あるのだろうか。関係あるにしても、このセクションの議論は色々杜撰だと思う。例…

家族制の廃止

『国家』のプラトンは、家族制の廃止を打ち出した。個々人の結婚相手をある種の優生学的な理由で国家が決定し、養育・教育も国家が担うべきというのだ。それにしても、結婚相手を国家が決めるというのは、マンガではありうる設定ではあっても*1、現実に実現…

ビッグクエスチョンズ

ビッグクエスチョンズ 哲学 (THE BIG QUESTIONS) 作者: サイモン・ブラックバーン,山邉昭則,下野葉月 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2015/03/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る この本を読んでいる。ブラ…

ベキ

次の記事を読んで少し考えた。 possible - in saecula saeculorum "-potent"という接尾辞は、数学で「ベキ」と訳されるという話。「冪等idempotent」とか「冪零nilpotent」など。これと関連するのが、累乗を英語では "power" と呼ぶという事実である。例えば…

グルーのパラドクス

定評のある(?)この本を読んでいる。 パラドックスの哲学 作者: R.M.セインズブリー,Richard Mark Sainsbury,一ノ瀬正樹 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 1993/04 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 調べてみたら、こ…

ヘンペルに関する誤解

宮台真司の文章にはヘンペルの名前がたまに出てくるけど、なんか私の知ってるヘンペルとだいぶ違う…。気になった点をいくつか記しておく。 ヘンペルやアシュビーの不可能性定理*1 アシュビーは名前しか知らないので措くとして、ヘンペルにそんな禍々しい名前…