最近亡くなった、現代形而上学の重鎮アームストロングの本を読んでる。
現代普遍論争入門 (現代哲学への招待 Great Works)
- 作者: デイヴィッド・マレットアームストロング,David Malet Armstrong,秋葉剛史
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2013/10/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
原著はわりと薄い本(文字通りの意味で)だと思うけど、邦訳は訳注がきわめて充実している。アームストロングは参照してる文献の該当箇所をほとんど示していないのだが、これもほぼすべて訳注で補われている*1。本文の翻訳も読みやすく、素晴らしい訳業だと思う。なお、訳者あとがきでは、訳注などが多いためにページ数が増えて値段が数百円上がってしまったので、読者はもとを取るつもりでちゃんと読んでほしい、という清々しいexcuseがなされている。
一か所、疑問に思った点がある。p.123の註9で、類似性の程度は半順序を形成するとアームストロングが言っているのに対し、実際には、半順序にすらならないだろうと言われている。しかし、その論拠として、類似性が推移的ではないからという指摘がなされているのだが、これはあまり納得できない。類似性が推移的でないということは、類似性の程度も推移的でないことを含意するのだろうか。a, bの類似性の程度がc, dの類似性の程度より高く、c, dの類似性の程度がe, fの類似性の程度より高ければ、a, bの類似性の程度はe, fの類似性の程度より高い、とどうして言えないのだろう。私の誤解かもしれないのだが、気になったので記しておく。