昨夜NHKで放送された、「日本人は何をめざしてきたのか」の第3回「丸山眞男と政治学者たち」を見ていたら、番組の終盤で、丸山がオウム真理教について語っていたのを知った。あまり他人事とは思えない、戦前の日本と置き換えてみればどうか、といった趣旨のことを言っていた。彼らしい視点なのだと思う。
こういう視点の持ち主が、95年の段階でどのくらいいたのかはよく分からない。たぶんほとんどいなかったのではないかな。当時主流だったのは、むしろ、連合赤軍との類比だったと推測する。例外的なのは宮台真司で、彼は連合赤軍との似て非なる部分を強調し*1、オウム真理教という組織は、神政国家(theocracy)の形式をとっていた点で、旧東側諸国や戦前の日本と似ているという指摘をかなり早い段階でしている*2。そして、これに関して小室直樹は、そういう指摘をした人は他に誰もいないとコメントしていたし*3。
Postscript (2014/7/20)
記事を書いたばかりだが、こういうtweetを見つけたので。
戦後日本の文系の研究者で歴史に残る仕事をしたのは、丸山眞男と廣松渉ぐらいだろう。しかし前者は(きのうのNHKの番組のように)まるで誤解されているし、後者はマルクス主義者として葬られた。彼らの学問の本質をちゃんと後世に伝えるのも大事な仕事だと思う。
— 池田信夫 (@ikedanob) 2014, 7月 19
後学のために、どういう論点が「まるで誤解されている」のかを示してもらいたいのだが…。例えば、別の場所では、池田はこう言っている。
しかし、昨日の番組で丸山をこのように紹介していたとは私には思えなかった。そもそも、こういう見解が「俗説」として浸透しているのかどうかも私にはよく分からない。