Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

トルストイ

見に行こうと思っていたけど見逃した映画を借りた。

 悪妻とされるトルストイの妻ソフィアに焦点を合わせた、面白い作品。ソフィア役のおばあちゃんが何だかかわいらしい。「主人公」の定義を知らないので、だれが主人公かは分からないけど、ソフィアに感情移入しやすく話が組み立てられているのは確かだ。世間では一般に悪妻とされてるが、視点を変えると特に悪い妻でないのかもしれない。「財産を守る」というと強欲にも聞こえるが、「作品の価値を理解していない取り巻きに騙されて財産を奪われるのを恐れる」といえば道理にかなっている*1

ところで、映画の序盤で、「農民が貧しいのは彼らが純粋だからだとでも言うの?」みたいなソフィアのセリフがあったと思う。「純粋な人」にはこういう自明なことが分からないのかもしれない。例えば、トルストイ主義に感化されて農村の小学校教師になったけど、農民たちの狡猾さに失望したのウィトゲンシュタインとか。

*1:話はやや違うけど、婚外子(非嫡出子)の相続権に関する民法の規定を見直す最近の動きに関して、見直しに反対する保守的な人の中には、同じような憤りを感じている人もいるだろう。