Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

排中律

ヒュームの邦訳で見つけた面白い箇所をご紹介。

矛盾は中間がない。有と無は相いれないのように、論理学の矛盾の原理は二つの形式をもつ。一つは「AはBなり」と「AはBならず」とは矛盾である。他は「Aは非Aならず」である*1

中間がないってのは排中律では….。後半は正直何を言ってるのかよく分からない。ヘーゲルの論理学とかを踏まえているのだろうか。

排中律は英語だとexcluded middleだが、ラテン語だとtertium non datur。ただし、両者を便宜的に分ける人もいる。例えば、ダメットの『真理という謎』邦訳の訳者解説p.412を参照してみると、次のようなことが書いてある。排中律に対応する意味論的原理として二値原理があるように、排中律の二重否定に対応する意味論的原理を考えることができる。それを「tertium non daturの原理」と呼ぶのだ、と。ダメットは二値原理を否定するがtertium non daturの原理を否定しない。この点は、反実在論の論理が多値論理ではなくて直観主義論理であるべき、という議論とも関係してそうだ*2

*1:『人間知性研究』訳注16, p.192

*2:金子『ダメットにたどりつくまで』2.3節