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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

コペルニクスの地動説(2)

昨日の記事で書いたけど、コペルニクスは「天体の運動は一様円運動であるべきだ」という古代以来のドグマにとりつかれていたというのは今ではよく知られている。しかし、そういうロマンのない話ばかり聞かされると、地動説が天下をとるうえで、コペルニクスの貢献はほとんどなかったの?という疑問が湧いてくる。科学哲学の本はあまりこの問いには答えてくれない…。私自身は、やっぱり大きな貢献があったと思いたいし、実際そう思ってる。

最近読んだギンガリッチ『誰も読まなかったコペルニクス』という本は、『天球回転論』は誰にも読まれなかったわけではないという事実を執念深く実証している。(まぁそりゃラインホルトの『プロイセン表』(1551年)は『天球回転論』をベースにしているっていうしね…) また、『プロイセン表』はプトレマイオスの体系をベースにしている『アルフォンソ表』の精度をしのぐとしている*1

これを聞いて、なんというか正直安心した。昔読んだライヘンバッハの本では、『プロイセン表』が従来のものより優れていたことを、コペルニクス説が受け入れられた理由の一つだと主張していた*2。これは古い情報なので、今でも信じていいのかなぁと思っていたのだが、裏付けを得たことになりそうだ…。 

誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション)

誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション)

 

Postscript (2014/5/18)

『遠近法の精神史』という本に所収の若桑みどりの文章を眺めていたら、結構胡散臭い記述が多い気がした。コペルニクスが1543年に『コメンタリオルス』を発表したとか、地動説が直ちに実証されたと読めるように書いてある。いかがなものかなぁ。

*1:『誰も読まなかったコペルニクス』p.344n1

*2:相対性理論の誕生』p.17f. ただし、ライヘンバッハは、プトレマイオスの体系をいくらか修正すれば、事実上同じ結果が得られることを認めてはいる