Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

世界哲学史4

しばらく閉まっていた地元の図書館が再開した。ここのところ本を読んでいなかったので、気晴らしにこんな本を読んでみた。全部を読むつもりはなく、気になった章だけつまみ食い。6章「中世西洋の認識論」と7章「西洋中世哲学の総括としての唯名論」に目を通してみたのだが、どちらも面白かった。中世の志向性理論が光学(視学)の影響下に展開されたとか、「志向性」の現代哲学での用法との違いとか、よく知らなかったので勉強になった。

元外交官の佐藤優が「ウィクリフ宗教改革」というコラムを書いていて一瞬困惑したのだが、考えてみればこの人は同志社の神学部の出身なのだったね。

「あとがき」で山内志朗が、タンピエの譴責によってアリストテレス哲学という学問の自由が抑圧されたことで近世の機械論的自然観が出てきたという歴史観デュエム・テーゼと呼んで、禁令なんて有名無実だったのだからデュエム・テーゼなんか今では顧みられもしない、と書いているけど、本当かな。古川『科学の社会史』では、デュエムの研究をずっと好意的に紹介していたと思うのだが。