Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ディカプリオの彼女

レオナルド・ディカプリオの年齢の推移と、彼女の年齢の推移を示したグラフというものを見かけた。

f:id:skinerrian:20191116103651j:plain

このグラフはなかなか味わい深い。まず、25歳がage limitとなっているのに笑ってしまうが、少し経って、1年以上彼女がいないということがなく、3年連続で彼女の年齢が下がっていることもある(2010-2013)のに気づいてさらに笑ってしまう。

このグラフに触発されてちょっとしたパズルを思い付いたので記しておく。次のような三段論法を考える。

  1. 人間はみな毎年一つ年をとる。
  2. レオナルド・ディカプリオの彼女は人間である。
  3. したがって、レオナルド・ディカプリオの彼女は毎年一つ年を取る。

二つの前提はどちらも正しそうだし、演繹的にも妥当な推論だと思われるが、上のグラフを考慮するとこの結論は奇妙に思える。

おそらく「毎年年をとる」という述語には量化が隠れており、「レオナルド・ディカプリオの彼女」が記述句であるというのが問題の元凶なのだろう。もしそうなら、結論は多義的になる。記述句のスコープを広くとって、ディカプリオの彼女である人物について、そいつは毎年年をとる、という風に事象的に読めば結論は正しいが、記述句のスコープを狭く解釈すれば偽になるのではないか。しかし、「毎年年をとる」をどういう風に分析すればいいのか分からない。