Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

コペルニクスは司祭か

ギンガリッチとマクラクランの『コペルニクス』は優れた入門書だが、翻訳で一つ気になる点がある。どうしようもなく些末な問題ではあるが。

コペルニクスはフロムボルクの司教座聖堂参事会員(カノン)だった。この翻訳ではカノンを「律修司祭」と訳している。ただし、次のように述べられている。

司教座聖堂参事会員、律修司祭と呼ばれるこうした管理者は各教区の実務を処理し、とくに、自分たちが保有していたそうとう広い土地の借地人たちから地代を徴収する役目を担っていた。ちょっとした宗教的な責任ならひきうけたが、必ずしも司祭に任命されるわけではなかった。pp.22-23

「律修司祭」は必ずしも「司祭」ではない、ということらしい。紛らわしいので「カノン」のままでよかったのではないか、と思った。

実際、コペルニクスはどうだったのだろう。村上陽一郎の『西欧近代科学』には、コペルニクスは「フロムボルクの教会付の司祭であった」(p.83, cf. 92)とある。ページ数は新版(2002年)に依拠しているが、この本の旧版は1971年で、新版でも本文はほとんど改訂されていない、とある。これより新しい村上の本『新しい科学論』(1979年)には

フロムボルクという街にある司教座聖堂という教会に勤めていたコペルニクスは、カトリックの司祭になる叙階式…こそ受けていなかったようです…当時の境界では、司祭の立場にいない人でも教会の要職につくこともできたのです。p.103

とある。

この記事によると、コペルニクスが司祭だったという逸話はガリレオによって(誤って?)広められたらしい。