Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

花の慶次

マンガ『花の慶次』の原作を読んでみた。

一夢庵風流記 (集英社文庫)

一夢庵風流記 (集英社文庫)

 

レビューを色々見てみると、原作には原作の、マンガ版にはマンガ版のよさがあってどちらも読む価値あり、といった意見が多いようで。私もそれには同感。マンガ版はよく考えて再構成されていると思う。オリジナルのエピソードが多いのだけど、セリフ回しは原作の全然別のエピソードから引用されていたりして、原先生が原作をよく読みこんでいるのが分かった。そして、マンガ版だと主人公の超人的な強さがひときわ際立っているけど、でも原作の叙述をそのまんま絵にすると確かにこうなるよなぁ、といった箇所も結構あるんだな、とか。

原作を読んでみて気にいった箇所としては、例えば、序盤で、大谷吉継が秀吉の好色について意見を述べる箇所なんかは印象的だったですね。

ところで、原作だと伽耶の国の末裔だという姫と結ばれることになるのに対して、マンガ版だと、ヨーロッパ人と日本人の混血の女性と結ばれることになっている。原作もマンガ版も今となってはやや古い作品になったわけだが、嫌韓とかネトウヨ的な思想が大きな広がりを見せた今となっては、マンガ版のこの改訂は(面倒事を避けるという意味で)うまくやったと言えるかもしれない、などと思った。