Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない』

ここ数日、ロンボルグの『環境危機をあおってはいけない』を読んでいる。情報量が多くて、普通にいい本だ。辞書みたいにも使えるし。酸性雨が森にはそれほど大きなダメージを与えてないという話(16章)は初耳だった。

読む前から個人的に気になってたのは原子力エネルギーの項目なのだが、これについては2ページほどしか割かれていなかった(p.218f)。原子力発電は二酸化炭素を出さない、通常の運用下では公害をほとんど出さないといったメリットを紹介しつつ、放射性廃棄物が大量にでること、高速増殖炉はたしかに魔法みたいだが、技術的にはきわめて脆弱とする。また、電力生産ではあまり効率がよくなく、1キロワットあたりの価格も化石燃料による電力価格より高いとしている。福島の事故前だったら、この辺の話はまったく関心をもっていなかったので、あっさり読みとばしただろうけど、今読むとこれは簡潔だけどかなり穏当な説明になってると思う。