Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

3rd Birthday

今更すぎるけど、このゲーム(公式サイト:ザ・サード バースデイ | SQUARE ENIX)について簡単なコメント。幾つかレビューを読んだ上で思ったのは、このゲームの評価を下げる要因はたぶん以下の2つに尽きる。

  1. ボリューム不足:PSPで出すべきではなかった。
  2. シナリオ:もはや前作レイプとしか言いようがない。ライターの<鳥山求めない>さんは、『FF13』のシナリオ・脚本でも目も当てられない惨状だったので、もう勘弁してほしい。

戦闘システムは概ね好評で、私自身もこのゲームのアクションは素晴らしいと思った。『キングダムハーツ』以降、スクウェアのアクションは質が高いといってよいと思う。オーバーダイブというシステム(高い戦闘能力をもった戦士が、[ある意味で]安全な場所から戦場の兵士を操ることができて、ピンチになったら使い捨てて別の兵士に乗り移ることができるという狂気のテクノロジー)の演出はとてもよかった。ただ、3rd Birthdayのシステムにもケチをつける少数意見は傾聴に値する。例えば、バリケードとか…。

音楽、というかサントラは評判がいい。最初、作曲はほとんど下村陽子さんが担当しているのかと思っていたけれど、どうもゲームをやって私が気に入った曲は別の人が作っていたようで、微妙に肩透かしを喰らった気分だ*1。前作までのファンであれば

  • Arise within You -for the 3rd Birtyday-
  • Pain of Assault(Plosive attackのアレンジ)
  • Escape from UB -for The 3rd Birthday-

などが聴きどころ。特に、Escape from UB -for The 3rd Birthday-は二作目のラスボス戦BGM(distorted evolution)のコーラスも織り込んでいるのが好印象。今作のオリジナルの曲だと、

  • Time of Insanity
  • Triumph of Wing
  • Cityscapes

あたりがプレイ中の緊張感とともに印象に残った。

The 3rd Birthday オリジナル・サウンドトラック

The 3rd Birthday オリジナル・サウンドトラック

しかしながら、シナリオの出来があまりにも酷くてですね。前作までのSF要素はほとんど消えさり、いきなりAyaは時空をこえて人から人へ移るオーバーダイブという特殊能力を開眼しました、とか言われる。それはまぁいいのだけど、ゲームを進めて事件を解決するたびになぜか状況は悪くなる一方であり、最終的には今作の主人公はAyaですらなかったという謎のオチが待っている。

そんなわけで、何度もプレイしたいと思えなかった。いちおう義理で4周くらいはしたのだが、それだけやってもタイトル"3rd Birthday"の意味すら理解できなかった。というか、理解する気にもならなかったという方が正しいか…。Parasite eve2はデッドリーモードまでやったのだが、今作に関しては難易度Hardまでしかやっていない。

序盤はあまり操作に慣れなくて、ダメージを受けると服がボロボロになっていくという本作最大のサーヴィスを面白がるだけの余裕がなかったのが残念…。ところで、このサーヴィス、基本的にはお色気のサーヴィスではあるのだが、ライトニングのコスチュームを着ているときに服がボロボロになるとルシの刻印が見えるというのは、お色気とは関係なしに良いファンサーヴィスだったのではなかろうか。

リーパーという凶悪な中ボスが序盤から何度も登場する、というのも良かった。「本当にコイツと戦うのか?」と思わせておいて、最後に強力なレーザービームが登場するという…。BGMの良さも相まって、正直震えた(色々な意味で)。Hardでこいつを倒すのは結構大変で、レンチンバグを使いたい誘惑に何度かかられた。

Normalまでなら、ラスボスはエナジーショットを適当に打っているだけで勝てるほど弱かった。ただし、Hardでは真面目に対策しないと突進を避けられずに簡単に殺されるので注意。まぁ、でもリーパーのが強いかな。

それにしても、主人公のアヤは可愛いけど、シリーズの整合性を考えるなら芯のある格好いい女性のはずではなかろうか。本作のアヤは本当はイヴという設定みたいだから、それでいいんだという話もあるかもだけど、それにしても、である。あと、「Parasite Eve2」では、あちこち調べる度に独白があったけど、ああいうのは人間味があってよかった。本作でもロッカーとか調べると多少はあるけど、セリフが全然面白くない。

小ネタで少し面白かったのは、4日目の「ノースシャローズタワー」だろうか…。"North Shallow's Tower"を和訳すると「北瀬タワー」。タワーのモデルは、スクウェア本社が入っているクイントビルだという。へぇ。

Postscript(2012/3/6)

英語サイトでParasite EveのWikiがあるのを見つけた。
Parasite Eve Wiki | FANDOM powered by Wikia
海外のマニアは凄いですね…。一部は書籍にもなっているようだ。

Parasite Eve - Characters: Deceased Characters, Heroes, Novel Characters, Parasite Eve Characters, Parasite Eve II Characters, the 3rd Birthday C

Parasite Eve - Characters: Deceased Characters, Heroes, Novel Characters, Parasite Eve Characters, Parasite Eve II Characters, the 3rd Birthday C

*1:cf. http://www.finalfantasyradio.net/2011/03/3rd-birthday-soundtrack/ このサイトの写真を見ると、下村さんは雰囲気が随分変わってしまったんだなぁ…。『Live a live』の攻略本のイメージしかなかったから非常に驚いた。