Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ケルヴィン、グラスゴー大学

科学史の小ネタ。

スコットランドグラスゴー大学教授だったケルヴィン卿は*1、1901年に日本政府から勲一等瑞宝章を贈られた。その経緯は次のようである。

明治政府は西洋の科学技術を導入するため、1870年に工部省を設置して、そこを窓口として多くの外国人を雇った。1885年に同省が廃止されるまでに588人が採用され、国別でみると英国が圧倒的に多く、455人に及ぶ。そして、英国人の中でも、グラスゴーでケルヴィンの教えを受けた者など、なんらかの形で彼とかかわりをもつ人々が多く含まれていたという。お雇い外国人たちの元締めのような地位にあったケルヴィンの功績を高く評価して、明治政府は1901年にケルヴィンに勲一等瑞宝章を授けた。

勲一等というのは、ケルヴィンが外国人であることを考えれば破格の待遇であるという。なお、1901年はグラスゴー大学の創立450周年にあたり、明治政府としても花を添えてあげるという意図があったのかもしれない。そして、翌1902年には日英同盟が締結される*2

以下の動画をみると、グラスゴー大学が日本の近代工学に与えた影響の大きさがわかる*3。ただし、ケルヴィンは登場しないが。

 

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*1:「ケルヴィン」とは、グラスゴーを流れる川の名前だという。小山慶太『異貌の科学者』p.66

*2:ここまで、小山慶太『異貌の科学者』pp.69-72

*3:cf. 山本義隆『近代日本150年』pp.44-55