Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

White Album 2

White Album 2』(Leaf 2010-11)をプレイしたので、感想を書いてみる。以下WA2と略。ネタバレはほとんどないと思うが、気にする方は注意。

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)

シナリオの評価が高いことは前から知っていたので、いずれプレイしたいと思っていた*1。もう発売から結構時間が経ってしまったが、ずっと積んだままになっていた。クリアまでに結構時間がかかるとも聞いていたので及び腰になってたところもある。ゆっくりでいいから時間を見つけて読もうと思ってたが、いざはじめてみると睡眠時間を削って最後までやってしまった…。熱狂的なファンがいるのも分かる。聖地巡礼ストラスブールにまで行ってロケ地の写真を撮ってるファンもいるみたいだ。マップまで作られてる、凄いなぁ。

ストラスブールというと、科学史に興味のある私は天文時計を見てみたいと前から思ってたのだけど、WA2をプレイしたことで見学したい場所が増えてよかった。訪問できるのはいつになることやら分からないが…。

WA2のシナリオライターLeafと特に関わりないと思うのだが、ファンサービスが多く好感が持てる。前作のWAや「痕」「Routes」など、Leafの過去作品の楽曲のアレンジがBGMに使われていたり、音楽室に入るときの合言葉が「ここがあの女のハウスね」だったり。

さて、WA2は、Introductory Chapter, Closing Chapter, Codaの三部構成となっている。それぞれ、高校3年目の冬、大学3年目の冬、社会人1年目の冬に対応している。ただし、Introductory Chapterは一本道で、選択肢が出てくるのはClosing Chapterからとなる。主なヒロインが二人いて、主人公との三角関係が(トータルで5年に及ぶ)三部を貫くテーマになっている。

まぁ、そんなわけでヒロインが二人いるわけだが、私の好みは断然ピアニストの冬馬かずさ! 残念ながら、シナリオライターは雪菜推しなのだが。かずさの扱われ様は不遇であり、テキストを読んでいて大変心苦しい。ヒロインの二人はたしかにどっちも重い女だけど、雪菜はそういう次元を超えていて、ちょっと気持ち悪くて引くレベル(雪菜ファンには申し訳ない)。

要所要所の選択肢は結構よくできてると思うが、落とし穴が一つ。Closing Chapterでかずさの母親のコンサートを聴きに行くかどうかの選択肢が途中で出てくる。ただし、「行く」という選択肢は灰色になっていて選べない。どういうルートを通ればこの選択肢を選べるのか本気で調べたのだが、どうしても分からず…。泣く泣く攻略サイトを見たら「これはダミーの選択肢」と書かれてて、思わずブチ切れてしまった。

それはともかく、Closing Chapterではかずさがほとんど登場せず、Codaのかずさルートはライターのやる気が感じられない。それに、Closing Chapter と Coda は冗長なところも多かったように思う。というわけで、私的に一番印象がよかったのはIntroductory Chapterということになる。学園祭までのテンションの高い描写がいいなぁと思った。Codaの雪菜true endの終盤よりこっちのがいい…。

ところで、メインヒロイン(注:確定記述)の冬馬かずさはピアニストなので、Introductory ChapterとCodaではクラシックの曲が数多くつかわれている。母親から主人公への恋心をからかわれ、顔を赤らめながらチャイコフスキーの「葦笛の踊り」(『くるみ割り人形』)を練習するかずさ、かわいい!

amazonで検索して気づいたけど、かずさが弾いたクラシック曲のCDなんかも発売されてるようだ。でも、これはアニメ版に準拠しているためか、ゲーム版で使われてるクラシック曲を全部カバーしてるわけではなさそう。さっき言及した「葦笛の踊り」とか、ショパンの「英雄ポロネーズ」、シューマンの「ピアノソナタ2番」などなど…。

TVアニメ WHITE ALBUM2 かずさクラシックピアノ集

TVアニメ WHITE ALBUM2 かずさクラシックピアノ集

まぁどうせ音しか収録されてないのだから、もっと有名な演奏家のCDを普通に聞けばいい気もするけど。

冷淡なことも書いてしまったが、結論としては、多少の難点はあるにしても十分楽しめるゲームだった。ちなみに、三角関係がテーマだから、ということもあってか、プレイ中しばしば『君が望む永遠』のことを思い出していた。時間だけが残酷で優しい。今はとてもつらい心の傷も時間が経てばきっと癒える…という希望がある『君望』と、そういう希望をあまりもてそうにない『White Album2』、みたいな比較ができないだろうか。 

*1:「2012年にAmazon.co.jpで行われた「Amazon.co.jpアダルトPCゲーム ベストオブシナリオコンテスト2010-2012」の投票で、『WHITE ALBUM2』(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)が1位を受賞している」丸戸史明 - Wikipedia