Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

独立性と確証

確率論を勉強していると、見かけ上は違うけど実際は同値になるような定義がよく出てくる。知ってる人にとってはあまりにも基本的な話だろうけど、初学者は混乱するので備忘録的にまとめておく。

独立

AとBが確率論的に独立である(ための必要十分条件

  • P(A|B) = P(A)
  • P(A&B) = P(A)×P(B)

この概念はどんな初歩的な確率論の解説でも紹介されているように思う。二つの定式が同値であることは、条件付き確率の定義からただちに分かる。

条件付き独立

AとBがCのもとで確率論的に独立であるのは

  • P(A|C) = P(A|B&C)
  • P(A&B|C) = P(A|C)×P(B|C)

条件付き独立の概念は相関関係と因果関係を区別するときに、しばしば言及される。例えば、AとBの間に相関があっても、それはCがAとBの共通原因になっているからで、AとBの間には因果関係がない、というケース。この場合には、AとBは独立でないが、Cのもとで条件付き独立になる。

なお、条件付き独立は独立より弱いというわけではなく、AとBが独立だからといって、任意のCのもとでAとBが条件付き独立になるとは限らないことを注意しておく。

確証1

確率論的な確証概念には二種類あって、一つは観察証拠が仮説の確率を上げるという定式化で、もう一つは観察証拠のもとで仮説の確率が高いという定式化。ここでは便宜的に確証1と確証2と名付けておく。

OがHを確証するのは

  • P(H|O) > P(H)
  • P(O|H) > P(O|not-H)

確証2

OがHを確証するのは

  • P(H|O) > 1/2
  • P(H|O) > P(not-H|O)

二つ目の定式は馴染みがないかもしれない。P(H|O) + P(not-H|O) = 1 であることを利用すれば簡単に証明できる。確証1の二つ目の定式と似ているのが興味深い(紛らわしいだけ?)。

関連記事