ドラマ 「ビッグバンセオリー」から。星占いの好きなペニーに対して、シェルドンが冷や水をぶっかけるシーン。
Sheldon: For the record, that psychotic rant was a concise summation of the research of Bertram Forer, who in 1948 proved conclusively through meticulously designed experiments, that astrology is nothing but pseudo scientific hokum.*1
ここでシェルドンが挙げているのは、俗にいう「バーナム効果」のこと。人々は一般的で漠然とした性格記述を自分に当てはまっていると考えやすい傾向にある。フォーラーの実験はバーナム効果を示した最初の実験だとか言われてる。39名の学生に性格検査をやって、一週間後にそれぞれの学生に結果を返したのだが、その結果というのは実は占星術の本からとった13の叙述からなる同じ性格プロファイルだった。殆どの学生が、それは自分に当てはまると答えた。
ところで、シェルドンが言うのとは少し違って、伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』には、バーナム効果は占星術を完全に否定するわけではないだろうが、不利な証拠なのは間違いない、と書かれている(p.72)。なぜ「完全に否定するわけではない」のだろうか…?
とりあえず次のような可能性を考えた。バーナム効果は、本当は自分には当てはまらないはずの記述を当てはまっていると誤解してしまう、という可能性と両立する。ということは、悪いのは占星術そのものではなく、自分自身の性格についてわれわれが適切な理解(自己知)を欠いていることだ、という可能性もある。そうだとすると、バーナム効果は占星術を完全に否定するわけではない。
といっても、占星術が完全に免責されるわけでもない。受け入れてよいのかどうか判定できない漠然とした予測しか導けない理論なんて使い物にならないだろうからだ。だから、バーナム効果は、占星術が生き延びてきたのは結局のところ人々が進んでそれを受け入れているからではないか?という疑念を呼ぶ。まぁ実際そうなんだろうね。