現実性オペレータを言語に足しても、もとの言語で表現できない内容を表現できるとは限らないという先の話だが、少なくとも量化を含む言語では話が違ってくるらしい。例えば
- 現実には存在しない対象もまた存在することができた
という文は
- ◇∃x@∀y x≠y
と書けるが、@を使わないでこれと同値な式を書くことはできないらしい*1。あるいは別の例として
- 現実に金持ちであるすべての人が貧乏であることもありえた。
いう文は、一見すると
- ∀x(Rx → ◇Px)
などと書けそうに思えるが、これだと現実の金持ちが貧乏であるような可能世界がてんでバラバラであっても真になる。元の文は、現実の金持ちが全員、どっかの同じ可能世界で貧乏であることを要求している。それを表現するには
- ◇∀x(@Rx → Px)
と書くほかないらしい。