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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

等加速度運動について

ガリレオの力学について書かれた次の記事にちょっとツッコミを入れてみた。

この記事の著者とは前に多値論理に関してやり取りをしたことがあるのだが*1、そのときも今回も悲しくなるくらい話が全くかみ合わなかった。上の記事に対する私の疑問はかなり単純だと思うのだが…。

まず、平均速度定理という等加速度運動についての定理がある。言葉で説明すると、一定の時間内に進む距離は平均速度でその時間だけ等速運動したときの距離に等しい、となる。分りにくいが、要するに、時点0からtまでのあいだ一定の加速度aで運動する物体が移動する距離は、中間の時点t/2における速度で0からtまでのあいだ等速運動することで移動する距離に等しい、つまりat2/2 である。ガリレオの『新科学対話』には平均速度定理の証明がみられるのだが、実は、これはガリレオのオリジナルなのかどうかは疑わしく、中世後期の学者オレームなどがすでに発見していた、と思われる。ここまではよい。

だが、上の記事の著者は、どうやらこの指摘をもって、ガリレオの独創性をほとんど無いものにできたと思っているらしい。私にはそれはどうも信じがたい。平均速度定理はどんな等加速度運動にも当てはまる定理であり、これを示すのに何の実験も必要はないと思われる。これに対し、ガリレオが斜面を使った大掛かりな実験によって示したと一般に言われるのは、自由落下が等加速度運動であるということである。等加速度運動している(v = at)かどうかを直接に確かめるのは難しいので、より確証しやすい命題を派生的に導く必要があり、平均速度定理(x = at2/2)や奇数列の法則はそこで役に立つ。平均速度定理を頭の中で証明することと、平均速度定理を自由落下や斜面上の落下などに適用することの間には開きがある。じっさい、等加速度運動する物体が一定時間内に移動する距離はしかじかだという命題は、自由落下がまさに等加速度運動であるという命題とは論理的に独立ではないだろうか?記号を使うなら、∀x(Fx→Gx) はFa と論理的に独立であり、∀x(Fx→Gx) を知ることでFaを知ることはできないはずである。

私には以上の議論は筋が通っているように思われるのだが*2、どれだけ言葉を費やしても上の記事の著者を説得できる気がしない。私は何か根本的な思い違いをしているのだろうか・・・。

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