Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

アリストテレスの色欲

 「トリビアの泉」でこういうトリビアが紹介されていたことを知った。

アリストテレス研究者の千葉先生が出演しており、まさに身を削るような解説をされている。少し気になったので調べたところ、千葉先生が参照された箇所はおそらく『動物発生論』5巻3章だろうということが分かった。

Hence no one goes bald before the time of sexual intercourse, and at that time it is in those naturally inclined to such intercourse that baldness appears, for the brain is naturally the coldest part of the body and sexual intercourse makes men cold, being a loss of pure natural heat.*1 

セックスと頭髪の関係はアリストテレス以前からも論じられていたようで、ブラックバーン『哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか』、ヒポクラテスの文章を引用している(3章)。

ちなみに、ブラックバーンによれば、アリストテレス自身と色欲の関係についてはこんな話がある。アリストテレスは、生徒のアレクサンドロスに慎み深さを説く一方で、アレクサンドロスの恋人から挑発されると、あえなく誘惑されてしまう。そのありさまをアレクサンドロスに目撃され、「先生、これはどういうことですか」と問われると、「私のような老いぼれでもこの有様だから、若い君はもっと気を付けなければならない」と言ったとか。まぁ信ぴょう性は低いだろうが、ネタとしては面白い。 

それでは、アリストテレス自身ははげていたのだろうか?ネットを見てるとそういう記述が散見されるのだが、肝心の出典が分からない。とりあえず、『哲学者列伝』には、髪を短く刈り込んでいたという記述があるのを見つけた*2

*1:Aristotle: Generation of Animals 5

*2:後記(2017/5/3):アイリアノス『ギリシア奇談集』(岩波文庫)の3巻19節にも同じような記述がある。