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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

落体の速さ

科学史

中公の『哲学の歴史11』所収の文章で、金森修は次のように書いている。

若い頃のガリレオは、落体の速さは重さに比例し、同一の物体は一定の速さをとって落ちると考えていた。だが、観察から加速運動が認められるのは否定しがたいために、彼は、加速が起こるのは落下の初期だけ、つまり落体が自分に固有の速さに到達する瞬間までのことだと推定した。その瞬間をすぎてしまえば、落下速度は一定になる。(p.554)

「若い頃」がピサ大学時代のことを意味しているとすれば、「落体の速さは重さに比例し」という記述は間違いではないかと思う。二つの物体をヒモで結びつけたら・・・という有名な思考実験は、落体の速さは重さによらないことを示すためのものだったはず。むしろ、正確には、同じ物質からなる物体の落下の速さは、大きさが異なっていても(したがって、重さが異なっていても)同じであり、落下する際の媒質(空気や水)の比重と落下物体の比重の差に比例する、と若い頃のガリレオは考えていた、と思われる*1

Postscript (2016/5/28)

上では批判的なことを書いてしまったが、この訃報は残念。ご冥福を祈りたい。

*1:伊藤和行『ガリレオ』p.8