プラトンは、アカデメイアで学生たちといろいろな言葉を定義することに熱心に取り組んでいたらしい。しかし、その取り組みは一般人からするとあまりにも奇妙だったので笑いのネタにもされてきた。
例えば、「羽のない二足動物(featherless biped)」という「人間」の定義はしばしば耳にするが、元ネタはたぶん次のような滑稽すぎるやり取りである。
プラトンが、「人間とは二本足の、羽のない動物である」と定義して、好評を博したとき、雄鶏の羽をむしりとって、これを講義場に持ちこんで謂う、「これがプラトンのいう人間だ」。以来、この定義には、「平たい爪をした」ということばが付け加えられることになった。*1
2世紀頃の知識人アテナイオスの『食卓の賢人たち』では、アカデメイアの学生たちが「西洋南瓜」がどんな種類のものかを論じている、という逸話が紹介されている。ある人は丸い野菜であると言い、別の人は草であると言い、さらに別の人は木であると言ったとか。こういうやり取りを聞いていたシチリア人の医者が「いいかげんにしろ」と屁をこいたのだが、アカデメイアの人間たちはそれを屁とも思っていない*2。