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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

精神病者の推論

心理学

ボリス・カーロフが人造人間を演じていることで有名な『フランケンシュタイン』の映画って、原作の小説とはほとんど別物だということを最近になって知った。原作だと、人造人間はちゃんと頭の働いている怪物だけど、映画だと池沼って感じだし…。

youtu.be

 このシーンは結構有名みたいで、例えば、ラカン精神分析の研究者(?)がこんなことを言っているのを見かけた。

ハンナ・シーガルがその論文「象徴等式」で示すように、精神病圏の患者さんたちこそが、たとえば「ニキビの痕にできた穴=ヴァギナ」のような、メタファー化をいっさい伴わない言語活動を営んでいるという事実です。たとえばボリス・カーノフ主演の映画「フランケンシュタイン」で、この怪物はそのロジックで行動しています。少女と花を川に流して遊んでいた怪物は、少女を川に流してしまいます。少女は花のように美しい、からではありません。少女も美しく花も美しいなら少女は花だから。だから川に流すのです、花を流したのと同じように*1。 

何言ってるのかあまりよく分からないんだが、とりあえず、精神病者は「少女は美しい、花は美しい、よって、少女は花だ」という風に推論して、二つの前提の述語が同じなら主語と同一視する、ということを言いたいようだ。

調べてみると、シルヴィーノ・アリエティという精神医学者が、精神病者の推論に関してそういうことを言っているのだそうで*2。この記事(述語論理:中村雄二郎の西田幾多郎論 - 続 壺 齋 閑 話)によると、中村雄二郎は西田幾多郎がこの手の推論を多用していると論じて、日本の偉大な思想家を狂人扱いするのか、と非難されたそうだ。どうでもいい情報だけど。

ちなみに、中村はこの手の推論を認める論理を「述語論理」と呼んだそうだけど、そのネーミングは本当にミスリーディングだから止めてほしいと思った。

*1:http://d.hatena.ne.jp/rothko/20040918 細かいけど、「ボリス・カーノフ」ではなく「ボリス・カーロフBoris Karloff」。

*2:精神分裂病の解釈』という大著があるらしい。cf. 丸山圭三郎『言葉と無意識』p.140. ただ、この丸山の本ははっきり言って駄本だと思う。その理由に関しては、大庭健『はじめての分析哲学』p.182,320も参照。