Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

戦後日本の殺人の動向

という記事を見つけた。2009年の記事で、しかも参照されているのは2000年の文献とやや古いのだが、興味深い。主旨はタイトルにもあるように、この国はオヤジが最も人を殺すということ。マスメディアがどれだけ若者の凶悪犯罪を報じようと、統計を見る限りでは、団塊の世代(1945--1950年生まれ)を中心とするオヤジたちの方が人を殺しているという、まぁよく聞く話。

殺人までいかなくても、団塊の世代の暴力性は、駅員に対する暴行にも現れてると言われることがある。そりゃ団塊は人口が多いのだから暴行件数も増えるでしょう、というすぐ思いつく反論には次のような回答がある。

つまり、人口比で比べては駄目で、鉄道の利用率とか就労率を考慮した上で暴行件数が多いとなればまじで暴力性があると言えるだろう、と。

しかし、団塊の世代を中心とするオヤジたちはクズである(注:総称文)と仮定するとしても、ではなぜ彼らはクズなのか。この世代が特異的に遺伝的な欠陥があると考えるわけにはいかないので、原因は環境要因に求めるべきだろう。記事にもあるように

ユニバーサル・カーブのくずれを指摘した長谷川寿一長谷川眞理子は、その主因である中高年男性の殺人率が顕著には下がらなかった原因を次のように分析する。
彼等は戦後進んだ急激な高学歴化社会に取り残された世代である。
ほとんど人が義務教育で教育を終えていた世代と、9割が高校へ進学する世代のはざまで、戦後の進行する学歴インフレによって減価され、経済成長の恩恵を平等に受け取ることのなかった世代集団で、殺人率の低下がはかばかしくないのでは、というのである。 

きちんとした教育を受けてなかったから暴力性を抱えたままなのだ、というわけである。

ちなみに、参照されている長谷川寿一長谷川眞理子「戦後日本の殺人の動向」という文章を図書館でコピって読んでみたが、結構面白かった。オヤジによる殺人だけが話題になっているわけではなくて、例えば、日本では実の母親による嬰児殺しが多いという話題とか。つまり、全体としてみれば欧米よりも殺人率は小さいのに子殺しは多いという話。まぁ昔からの風習なんだろうけれど。

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