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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ゲーデルの定理

大澤真幸ゲーデルの定理についてこんなことを言っている。

ゲーデルの第一不完全性定理と第二不完全性定理は、次のことを意味している。すなわち、(自然数論を含む)形式体系が含まざるを得ない決定不能命題の存在は、体系内のすべての命題(論理式)の決定不能性を含意している、ということを。というのも、形式体系のすべての命題は、体系が無矛盾であることを前提にして成立するが、ゲーデルが導いた決定不能命題は…体系の無矛盾する命題と同値なのだから*1。 

決定不能なゲーデル文が算術体系の無矛盾性を主張する命題と同値なのはいいとして、だからといって、体系のすべての命題が決定不能であるとはいかなることだろうか?

「決定不能」は多義的なので、どういう意味で使うのかにもよるかもしれないが、ゲーデル文は「体系の中で証明も反証もできない」という意味で決定不能といわれる*2。しかし、算術体系の中には明らかに証明できる命題もある。なんでもいいけど、例えば、1+1 = 2とかそんなのだ。このことは体系が矛盾していたとしても成り立つ。だから、体系のすべての命題が決定不能とかいうのは、いくらなんでも盛りすぎということになる。

*1:『身体の比較社会学1』p.144, cf. 『行為の代数学』p.327

*2:この意味での決定不能性は(形式体系と相対的な)命題の性質。