Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

男女関係に保守的な東大生?

メモ。昔から東大生の男子は男女関係に保守的な傾向があるという話。

1952年11月、朝日新聞紙上に掲載された高橋健二(ドイツ文学者)の言葉。駒場寮の部屋の不潔さは論外なので、アルバイトの女学生に掃除をしてもらったらどうか、という意見を述べている。[…]

数日後、「女学生よ、断りなさい」と題する女性からの投稿が掲載され、一大論争へと発展する。[…]

高橋教授への反論を投稿した女性は、実は息子が駒場寮生だった。息子からの手紙に「ゲル(金)さえあればやってみるのも悪くないな、と友人と話し合ったものです……」とあったので、ギクッとして、投稿する気になったのだった。母の投稿を紙面で読んで、今度は息子の方が驚いた。

東大2年生、駒場寮に住む息子は母に再び手紙を出す。「ぼくたちが女学生のアルバイトに賛成なのは、なにも彼女たちに実際に働いてもらうのが目的じゃないんです。とにかく、メッチェン(娘さん)が、ぼくたちの部屋に侵入して来ることに対するバクゼンたる期待からなのです」

対して母は息子に言う。「ご自分でお部屋をきれいに片付けたうえ、堂々と女学生をご招待になってはどうでしょう。お花の一つも、あなたの机にいけてくださるでしょう。それからは、お得意のダベリングでもなさるのですね。早くそんな日が来るように、お母さんは祈っています」*1

これが1950年代初頭の話だというのは少し驚きである。この母親のコメントはユーモアもあって格好いい。

次。

作家・池田みち子が『マドモアゼル』(1961年2月号)に掲載した「ルポルタージュ 東大駒場寮の秀才たちの昼と夜」より。
「彼らは一様にロマンチックで、案外に封建的である。男女関係では、封建制のために得をしている側の男性から新しい意見を聞こうと期待した私のほうが無理なのだろう」

池田「結婚について考えたことない? 理想の妻なんて?」
東大生「結婚なんて三十になってから。寛大でおとなしい女がいいな、ぼくがひと月ぐらい家へ帰らなくても何もいわないのが。結婚するのは美人でなくてもいいから、美人とうわ気してもおこらんのがいいな」

池田さん、ちょっとむっとしたのか、手厳しいことを書いている。
>(東大の)女子学生については、(東大の男子学生は)「あんなのに興味もつ男がいるかなア」とたいへん失礼なことをいった。おそらく女子学生の友だちが一人もいないに違いない。*2

これが1960年代初頭。やれやれという感じもする。

宮台真司の『世紀末の作法』(1997)という本に「アンケート調査にみる これが赤裸々東大生」という文章があるけど、この文章も少し似たようなことを書いている。

東大男子の性的なオクテぶりは、好きなタレントに和久井映見というおとなしくて無害そうなコを選んだり、年下の女性を好む学生が多いところにも見てとれる。東大生に年上嫌いが多いのは、女性に対して自分が主導権を握らないと気が済まない「プライドの高い臆病な男」にありがちな傾向である。東大の男には男女関係に保守的なタイプが多いようだ。p.126