ネトウヨが「他者を強力にする原因を作るものは自滅する」という言葉をマキャベリに帰しているのを割とよく見かけるけど、不勉強なのでいまだに出典を見つけられずにいる。この言葉が引かれる多くの場合で出典が記されておらず、記されていたとしても、せいぜい塩野七生『マキャヴェッリ語録』に言及されるくらいだ。図書館でこの本の文庫版を借りてチェックしたところ、p.231fにたしかにこの言葉があるのは分かった。しかし、塩野さんは『君主論』としか出典を書いておらず、どの章から引用したのか記していないのだ…。「目的は手段を正当化する」とかもマキャベリの言葉とされているけど、実際には言っていないし、「他者を強力にする原因を作るものは自滅する」も実際には言ってない名言というやつなのだろうか。
Postscript(2015/4/25)
『君主論』第3章の末尾で、「他者を強力にする原因を作るものは自滅する」に相当するような文言をようやく見つけることができた。講談社学術文庫の佐々木訳から引用すると
ここからほとんど誤ることのない一般的な準則が出てくる。すなわち、他人に勢力を得させる原因を作る者は自ら滅びる。p.48
見つけるのにずいぶん時間がかかってしまった。長く苦しい戦いだった…。
なお、出典が見つからなくて困っている文言は、マキャベリの他にもいろいろある。例えば、「最近の若者は…」といった愚痴は古代ギリシャの時代からすでに言われてきた、という説がそうだ。誰がそんなこと言ったんだか…。たぶん、これはガセネタなんだろうなぁ。