ケネディ駐日大使が外交上の慣例を無視しているとか、日本について無知すぎるといった声がネット上で噴出している。
「ケネディ姫」をペルソナ・ノン・グラータ認定すべきではないかという暴論まで出てきた。これ、もとは歓迎されない人物という意味で、いまでは外交官待遇を拒否するという外交用語らしいのだが、私の場合、この用語をはじめて目にしたのは、哲学者クワインの本を読んだときだった。
クワインの『ことばと対象』には「招かれざる存在者(Entia non grata)」という節がある。この節でクワインは、存在するとは認めたくない存在者の候補を挙げていく。例えば
- sake, behalf といった名詞の指示対象
- マイルなどの測定の単位
- 可能者(possibilia)
- 事実
など。具体的にこれらのケースをクワインがどう扱うのかは、『ことばと対象』を各自読んで確かめてほしい。