Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

コペルニクスの地動説

コペルニクスはどうして太陽中心の体系を考えたのか、問題。かつては、中世の天文学では惑星軌道の予測をわずかにでも修正するために、周転円に周転円を重ねていった、という神話があった。この神話の上にのっかって、コペルニクスは宇宙の単純性を信奉していたので、地球中心の体系をひっくり返した、というのが定番の説明だった。しかし、この解釈はもう受け入れられていない。現在の定説は、一様円運動をやぶるエカントの存在が邪魔だった、というもの*1

それはいいのだが、この現在の定説はいつごろ定説になったのかが気になる。大学に入ったばかりの頃にたまたま手にとった本なのだが、村上陽一郎『近代科学を超えて』というのがある。これの2番目の論文は1971年の論文なのだが、これを最近見返してみたら、エカントに触れられていたので、半世紀前には知られていた話だったのかと思った。まぁ、他にも、コペルニクスが新プラトン主義的な太陽信仰を持っていたかもしれない、といった説も検討されていて、こちらに関しては、やや懐疑的とはいえ完全には切り捨てられていなかったりするけど。

近代科学を超えて (講談社学術文庫)

近代科学を超えて (講談社学術文庫)

 

Postscript (2014/2/24)

コペルニクスは新プラトン主義的な太陽信仰を持っていた、という可能性をまじに受け入れている記事を見つけた…。コペルニクスはなぜ地動説を唱えたのか - システム論ブログ - 永井俊哉