Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

共外延的

外延が等しいからといって同義的だとは限らないことを示すためのクワインの反例に、「腎臓を持つ動物」と「心臓を持つ動物」は外延が等しいというのがある。この例には注意が必要なところがあって、まず、本当に共外延的かどうかは、実のところこの反例にとって大事ではないということ。この二つが本当は共外延的でなかったとしても、あぁ確かに共外延的であることは同義とは限らないという感覚をもてればいい。

でも、この二つの表現は分析できるではないか、という疑問もありうる。「xはyを持つ動物である」と「xは腎臓である」「xは心臓である」という3つの述語を用意すればいい。たとえば

  • xは腎臓を持つ動物である ⇔ ∃y [xはyを持つ動物である & yは腎臓である]

みたいな。複合的な表現なら外延が等しくても構成が異なってるなら同義とは言えないとか言い逃れてもいい。なので、この辺の事情をごまかすために、医学のラテン語を使って、「xはrenateである」と「xはcordateである」という単純な述語を使う、という手がある。

でも、結局のところ、自然言語には原子文なんてあるのかどうか怪しい、というかどうとでも約定できるような気もする。なので、上のような議論にはあまり意味がないのかもしれない。