最近出版された分析哲学の本を二冊購入。
- 松阪陽一(編)『言語哲学重要論文集』(春秋社)
タイトルの通り、言語哲学の論文集。ドネランの論文が訳されているのが嬉しい。しかし、これまでにすでに日本語に訳されている論文が半分近くあるのが残念。80年代の『現代思想』とか『理想』を図書館で発掘しにいって、クリプキやカプランの論文をコピっていたので何か悔しい(まぁどのみちまだ読んでなかったけど…)。本書を購入したことで用済みになったコピーはごみ箱に捨てた。
- 八木沢敬『意味・真理・存在』(講談社)
ハイデガーの研究書で似たようなタイトルの本があったような…。これ(意味・真理・場所―ハイデガーの思惟の道)ですね。二つ目まで全く同じだけど、全く別の意味で使ってる感がハンパない…。
本書は『分析哲学入門』の続編で、前作よりも硬い文体で書かれている。でも、パラっと見た感じだと、哲学用語はたくさん出てくるけど記号はできる限り出さない配慮をしてるみたいだ。たとえば、概念分析の例として「ひいおばあさん」という概念は「親」と「母」の概念から作られるという意味で複合的である、という例を出している箇所では、厳密に同値な式を与えていない(p.15)*1。たぶんこうなる。
- xはyのひいおばあさんである ⇔ ∃z∃w(xはzの母である & zはwの親である & wはyの親である)
いずれにせよ、前作と本書のどっちも、前にこのブログで貶した分析哲学の某入門書より質と信頼性が高いと予想する。
関連ページ
『言語哲学重要論文集』 - logical cypher scape
Postscript (2013/9/29)
「フレーゲとラッセルの論文はすでに翻訳があるのに…」と思っていたけれど、『言語哲学重要論文集』に収められた翻訳は従来のより読みやすく、訳注も充実しているので、かなり便利だと気付いた。普通におすすめ。
*1:ただし、著者はちゃんと断りをいれている。