この本は、「ゲーデル」という名前すら知らなかった頃にはじめて手に取った。パラパラ読んでみて面白いところは幾つかあったけど、例の定理の説明を含めてほとんど理解できなかったと思う。
後になって、この本は色々と細かいミスがあって問題のある本だということを知った。一階論理の完全性と理論の不完全性を混同している(p.208)というネタはよく言われているが、それ以外にも結構変なのがあると思う。例えば
- 床屋のパラドクスをラッセルのパラドクスと「同一内容」と紹介していたり(ややミスリーディング)、p.99
- アリストテレス以来の古典論理学の根本法則として、「AがBであるならば、BはAである」という反射律なるものが挙げられてる…。p.159
ただ、自分の場合、これらの箇所は最初に読んだときに詰まって後々まで混乱させられた、というわけではないので、特にネガティブな気持ちはもっていない。
むしろ、参考文献の中で、集合論の分りやすい入門書として松村英之『集合論入門』(朝倉書店)を挙げていたことで嵌められた。これ、普通に難しいし…。「ファイバー積」とか標準的な教科書には載ってない話題が紹介されていたり、圏論への入口にさせようとしている本なので、明らかに、文系の人間が最初に読むべき本じゃなかった。