ふと思ったのだけど、「認知地図」の原語にはひょっとして"cartography"と"cognitive map"の二種類があるのか、と以下の記事をみて思った。
新田『アメリカ文学のカルトグラフィ』:あんまり認知地図になってません。 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
大雑把にいうと、"cartography"は諸概念の関連を地図のように整理して位置づける、という感じなのかな。哲学者のギルバート・ライルの使う"logical geography"という表現も、だいたい同じような意味なのかと思う。
それに対して"cognitive map"はトールマンの行動主義心理学に由来するもので、人間や動物が環境に対して(文字通り)頭の中にもっている空間的地図のことか。二つは一応別箇だと思っておいたほうがいいのかな。関係するかもしれないけど。
Postscript (2013/3/3)
ライルといえば『心の概念』だけど、邦訳は訳文の硬さもさることながら、裏表紙にある内容紹介が何かイマイチな気がする。「〈心の科学〉がコンピュータ・サイエンスを引きこみながら、認知科学という名称を得て、科学としての新しい展開をめざしつつあるいま、ライルの哲学はその輝きを一層ましつつある」ってあるけど。むしろ逆に、輝きを失いつつあるのではないだろうか。
ところが、2009年に60周年記念版が出版されていたらしい。
The Concept of Mind: 60th Anniversary Edition
長大な序文が付いたけど、ページ数が以前の版と変わった上に、デネットの序文が削られたみたい。