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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

とある飛空士への追憶

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)

劇場版を観にいってきたのだけど、期待して割と損した気分。原作の長所をいろいろな意味で活かせてないと思う。原作の強みは巧みな心理描写とか、まぁ様々だろうけれど、個人的に思ったのは、この映画には不条理感が欠けている…。見終わっても、<とある>匿名の飛空士の話という感じが全然しなかった。不条理ということで私が念頭においているのは、例えば

  1. 主人公がベスタド(混血児)という被差別階級の出身で、結局何をやっても報われないこと
  2. たかだか1人の女性を輸送するのに空軍が全力を挙げていること
  3. リーダー達が無能な上に、たとえ作戦が敵方に駄々漏れになっても誰も責められないこと

といったことだ。映画は1.を丁寧に描いたが、2, 3の描写が足りない(演出があまりよくない)ので、腐った世界の中でこそ輝いてくる主人公の正直さ、といった美徳が感動的なものになってないと思った。いやまぁ、最後の砂金をばらまくシーンとか綺麗でしたけどね…。でも、全体としては子供向けのロマンス、ラブストーリーという印象は拭えなかった。