ラファエロの名画「アテネの学堂」は、哲学にも芸術にも興味ない人でも知っている。「アテネの学堂」という名称は後から与えられたものであって、もとは「諸原因の認識causarum cognitio」と題されていたという話も聞くが*1、原題が何であれとにかく有名な絵である。サイゼリヤなんかにもよく飾ってある。
この絵に描かれている人物たちは古代ギリシャの有名な哲学者とされているが、個々の人物が誰を表しているのかは不明である。もちろん、中には解釈に議論の余地がないものもある。中央に配置されている二人は間違いなくプラトンとアリストテレス*2。それぞれ天上と地上を指差していて、『ティマイオス』と『二コマコス倫理学』を手に持っている。
この絵に描かれている人物たちすべてが同時代人というわけではない。例えば、4-5世紀のアレクサンドリアに生きた女性哲学者のヒュパティアなども描かれている。この人物のモデルはラファエロの恋人という説もある。モデルといえば、この絵のプラトンのモデルはダ・ヴィンチであり、アリストテレスのモデルはミケランジェロである。ラファエロ本人も右端にひょっこり顔をだしているとか。