Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

アテネの学堂

ラファエロの名画「アテネの学堂」は、哲学にも芸術にも興味ない人でも知っている。「アテネの学堂」という名称は後から与えられたものであって、もとは「諸原因の認識causarum cognitio」と題されていたという話も聞くが*1、原題が何であれとにかく有名な絵である。サイゼリヤなんかにもよく飾ってある。

この絵に描かれている人物たちは古代ギリシャの有名な哲学者とされているが、個々の人物が誰を表しているのかは不明である。もちろん、中には解釈に議論の余地がないものもある。中央に配置されている二人は間違いなくプラトンアリストテレス*2。それぞれ天上と地上を指差していて、『ティマイオス』と『二コマコス倫理学』を手に持っている。

この絵に描かれている人物たちすべてが同時代人というわけではない。例えば、4-5世紀のアレクサンドリアに生きた女性哲学者のヒュパティアなども描かれている。この人物のモデルはラファエロの恋人という説もある。モデルといえば、この絵のプラトンのモデルはダ・ヴィンチであり、アリストテレスのモデルはミケランジェロである。ラファエロ本人も右端にひょっこり顔をだしているとか。

*1:ブラックバーンプラトンの『国家』』p. 230

*2:『鑑賞のための西洋美術史入門』という本を図書館で見かけたのだが、中央左の人物を「ソクラテス」と書いていて目を疑った(p.54)。これだけで判断するのは性急だが、この本の信頼性に疑問を抱かざるを得ない。