Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

死の都

某大臣の「死のまち」発言というのを聞いて、『死都ブリュージュ』を連想した。この小説のタイトルのせいで、ブリュージュの街はいい迷惑を被ったという話だが、そうなのかもしれない。もっとも、福島の場合は単なる風評被害とも言い切れず、下手をすると10年のオーダーで人が住めないのだから、死都に限りなく近いと思うが。

ちなみに、この小説に音楽をつけたコルンゴルトのオペラがある。正直にいうと、私は小説なんて読んでいなくて、このオペラしか知らないのだが。

コルンゴルト:歌劇「死の都」 [DVD]

コルンゴルト:歌劇「死の都」 [DVD]

神童と言われるコルンゴルトについては詳しい伝記がある。「死の都」はこの作曲家の作ったオペラの中では一番有名で、当時、非常に流行ったという。聴いてみると、その理由は何となく想像がつく。物語はシンプルで、旋律も非常に分かりやすい。プッチーニ風とも言われるけど(実際にプッチーニはこの作曲家を高く評価していた)、聞こえてくる音響、というか和声は全くプッチーニではない…。

有名な聴き所(アリア)は「私に残された幸せは」(1幕)と「私の憧れ、私の幻はよみがえる」(2幕)だけど、個人的にはマリエッタの唄の直後にくる曲、「そうよ、私は踊り子なの」とか言いながら踊りだす甘ったるい曲が好きだ。

CDはラインズドルフ指揮のものが古典。Naxosから出ているセーゲルスタムのは、テノール歌手の問題なのか知らないけど、[ハイトーンを要求する箇所など]あちこちカットされている上に、演奏の質も全体的にあまり高くない。ストラスブール指揮のDVDは演出が現代的だが見ごたえがある。エンディングの解釈はあれでいいと思う。

Postscript(2014/3/22)

関連記事として推薦してみる。
コルンゴルト『死の都』 - charisの美学日誌