- 作者: サイモン・ブラックバーン,屋代通子
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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キリスト教7つの大罪シリーズの1冊。メタ倫理学で有名な著者ブラックバーンが、色欲は[ヒュームの言う意味での]美徳virtueであると論じる。翻訳では、原書に付いていたカラー図版と膨大[というほどでもない]註がカットされている。当然原書で読むべきだけど、英語が難しくて途中で挫折した自分にはこの翻訳は有難い。山形浩生氏はボロクソに言っていたけど。
序論においてブラックバーンは「色欲を論じるのに自分はふさわしくないのでは?」と悩んだという。相応しくない理由というのを幾つも挙げていて、それらが逐一面白い。その内の1つは著者が「英国人だから」だったかな。英国人は恋愛事とかそういうのに疎いというイメージってそんなに一般的なんだろうか。例えば、映画『ジュリエットからの手紙』で*1、英国人の男性がジュリエットの秘書達からそうなじられていた。この映画では、それに答えて「じゃあ、『ロミオとジュリエット』の戯曲を書いたどこの人?」と反論していたと思うが。
それはともかく、本書の一つのハイライトは、プラトンが性に対して抑圧的だったという通説に対して、かなり紙幅を割いて論じていることだと思う(3章)。
*1:原題は`Letters to Juliet'なので、邦題との違いが面白い。邦題の方は確定記述ですね!