Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

排他的選言

無門:ランチにはコーヒーか紅茶がつくと書いてあったんじゃ。わしはよく分からなかったもんで、じゃあ、コーヒーと紅茶と両方下さいと言ったら、断られた。
道元:非論理的な喫茶店だな。*1

テキストでは、「コーヒーか紅茶」という表現の「か」、つまり`or’は排他的選言と見なすのがよい、ということになっている。コーヒーと紅茶の両方がつく可能性を排除しているという意味では、この`or’は両立的な選言ではなさそうだからである。
しかし、客はコーヒーか紅茶のどちらか好きなほうを選べるという意味では、この`or’はむしろ`and’の意味に近いとも言えるのではないか。なぜなら、どちらか選べるというのは

  • P&Q / P

という推論(連言除去)に似ているからだ。`or'にはこうした推論規則はない。

日常言語の表現に対応するものを古典的な二値論理の中に探し求めるのは無理がある。せいぜい似たものしか見つからない。記号言語は日常言語の理想化という関係に立つと考えるよりは、両者はその仕組みにおいて相当に異なった体系だと考えた方が無難かもしれない。

論理学

論理学

Postscript (2014/7/14)

この記事は、線形論理の結合子についての初歩的な話を背景にしている。線形論理では"and"と"or"を乗法的(multiplicative)と加法的(additive)の二種類に分ける。「コーヒーか紅茶」のような場合は加法的な"and"で解釈するとしっくりくる、と言われている。

*1:野矢茂樹『論理学』p.27