無門:ランチにはコーヒーか紅茶がつくと書いてあったんじゃ。わしはよく分からなかったもんで、じゃあ、コーヒーと紅茶と両方下さいと言ったら、断られた。
道元:非論理的な喫茶店だな。*1
テキストでは、「コーヒーか紅茶」という表現の「か」、つまり`or’は排他的選言と見なすのがよい、ということになっている。コーヒーと紅茶の両方がつく可能性を排除しているという意味では、この`or’は両立的な選言ではなさそうだからである。
しかし、客はコーヒーか紅茶のどちらか好きなほうを選べるという意味では、この`or’はむしろ`and’の意味に近いとも言えるのではないか。なぜなら、どちらか選べるというのは
- P&Q / P
という推論(連言除去)に似ているからだ。`or'にはこうした推論規則はない。
- 作者: 野矢茂樹
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1994/02/18
- メディア: 単行本
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Postscript (2014/7/14)
この記事は、線形論理の結合子についての初歩的な話を背景にしている。線形論理では"and"と"or"を乗法的(multiplicative)と加法的(additive)の二種類に分ける。「コーヒーか紅茶」のような場合は加法的な"and"で解釈するとしっくりくる、と言われている。
Postscript (2019/7/27)
論理学者の大西先生が、上で手短に触れた話を詳しく説明されているのを見かけたのでリンクを貼っておく。