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Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

幾何級数

「幾何級数」というのは、たぶん等比級数と同じことなのだが、何故こういう言い方をするのか、少し気になっていた。このサイト(幾何級数の真実)が割と分かりやすかった。

人文系の人がこの言葉に出会うとすれば、たぶんマルサスの議論でしょうか。集団の個体数の増え方は指数関数的なのに、食料の生産量は算術級数的にしか増えない。この落差は弱肉強食・適者生存の原理によって埋められるはずだというのが彼の推論だった。この考えが、スペンサーらの社会進化論に影響を与えることになる。彼らは、弱者が切り捨てられるのは神の思し召しであるという規範性を導き出した。こうした主張はヴィクトリア朝のイギリスで社会福祉に対する様々な議論を産むことになった…(e.g.,自由放任主義)。

こんなことを書いているのは、最近読んでいるデネットダーウィンの危険な思想』マルサスの話が出てきたから(2.2節)。しかし、この本、訳がちょっとね…。正直、一読したときは何言ってるのか分からない箇所が多すぎるのよ。その一端を記しておこう(この翻訳にはErrataとかアップされていないのかな?)。

  • プラトンの有名な模像では、どんなシステムが生物種の「交点に本性を刻印した」のだろう。 ⇒ プラトンの有名な表現imageを使えば、どんな体系が「自然を節目で切り分けたのかcarved the nature at the joints」? p.51*1
  • 多くの研究者は、言語は火を手懐けるのを支援するのによーく間に合う(in plenty of time to underwrite)程度にはずっと早くから始まっていたとしている。p.493
  • 表向きは無限に「構文解析」できる ⇒ 公式には無限個ある文を「構文解析」できる p.505*2
  • 皮肉なことに、ホージランドによって`GOFAI'と呼ばれたもう一つの貪欲な還元主義の度重なる失敗(repeated failures)によってこそ、心理学者は心が実に卓抜な工学的複雑さをもった現象であると納得させられてきたのであった。(p.522)*3

突っ込み所はここだけではないけれども…。とはいえ、この大著の全訳があるというのは有難いこと。全体として読めないわけではないし。

ダーウィンの危険な思想―生命の意味と進化

ダーウィンの危険な思想―生命の意味と進化

*1:ちなみに、プラトンパイドロス

*2:無限にパージングするってどういうことよ?

*3:翻訳だと、スキナーの行動主義の方がGOFAIよりも後にくるかのようだ。