Skinerrian's blog

論理学・哲学・科学史・社会学などに興味があるので、その方面のことを書きます。更新は不定期。

ドロテア

中世末期を舞台にした漫画を紹介。

ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)

ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)

迫害を受けながらも、仲間を救うために闘い続けたひとりの少女の物語。15世紀末のドイツ。片田舎のナウダース地方にはアルビノの子供が集められ、共同生活をする「白の家」があった。少女ドロテアもそこで育ったが、「白の家」が異教徒として告発され、自ら傭兵となり戦う決意をする。

作者は女流エロ漫画家Cuvie先生。ただし、本作は一般向け媒体に連載されていたので、そういう要素は全くない。中篇[?]程度の長さ。絵は相変わらず素晴らしいが、シナリオは可もなく不可もなく。当時のドイツの雰囲気が丁寧に描かれている。「神聖でもローマでも帝国でもない」というあれです(何!?)。

この時代の歴史には疎いので、読了後に色々調べてみたり。以下、参考までにメモ。

フリードリヒ三世(1463-1525)

ザクセン公。賢明公der Weiseと呼ばれる。ドイツ帝国の改革に努めたが、皇帝マクシミリアン1世の死(1519年)後彼に提供せられた皇帝位を斥けた。ヴィッテンベルク大学を創立(1502年)。ルター派に改宗はしなかったが、ルターを庇護し、彼をヴォルムスの議会に赴かせ(1521年)、またテューリンゲンのヴァルトブルク城に彼をかくまい、宗教改革は事実上彼によって普及の緒についた。
マクシミリアン1世の死に伴う皇帝選挙で候補の一人に挙げられるもこれを辞退、既にスペイン王カルロス1世として即位していたマクシミリアンの孫を推薦して、皇帝カール5世を誕生させた。なお、本作に登場するギュルク・フルンツブルグGeorg von Frundsbergは、歴史的にはカール5世に使えた騎士。

スイス傭兵

主にスイス人によって構成される傭兵部隊で、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパ各国の様々な戦争に参加した。14世紀にスイス原初同盟がハプスブルク家を破り独立を果たすと、スイス歩兵の精強さがヨーロッパで認められるようになり、国土の大半が山地で農作物があまりとれずめぼしい産業が無かったスイスにおいて、傭兵稼業は重要な産業となった。

ランツクネヒト

1486年にマクシミリアン1世によってスイス傭兵を教師にして編成されたヨーロッパ(主にドイツ)の歩兵の傭兵。三十年戦争でも戦い、彼らが大活躍したからこそ戦後のドイツの人的、経済的被害は壊滅的になったとも言われている。スイス傭兵とはいわば師弟の関係になるが、同時に商売敵でもあった為、戦場で両者が対面した時は特に悲惨な戦闘が繰り広げられたという。

ハインリヒ・インスティトリス

異端審問官。『魔女に与える鉄槌』という1487年にドイツで出版された、中世における魔女理解のエッセンスともいうべき本の著者の一人。のはずだが、6巻pp.207-213を見る限りでは殺されている…。

Postscript (2014/1/7)

Cuvie先生は一般向けのエロ漫画も幾つか書いていて、その中では『NIGHTMARE MAKER』が有名で、私自身も(前半は特に)気にいってる。どうでもいいけど、私は彼女の作品タイトルの、独特なネーミングセンスが結構好きである。例えば、"Horny"が「好色」という意味だとか、"girlish"と"girlie"の違いとかを知ったのは、彼女の作品名からだった。